出張で新幹線を利用したAさん。ホームで乗車位置に並ぼうとすると、先頭にキャリーケースだけが置かれていた。
周りを見ても誰もいないため「トイレにでも行っているのかな」と思いながらしばらく待っていたものの、その後も誰も戻ってこない。そうしているうちに発車時刻も近づいてきたため、Aさんはキャリーケースの前に並ぶことにした。
すると数分後、1人の男性が戻ってきて「荷物を置いて場所を取っていたんだ!」と責められた。Aさんは「誰も並んでいなかったので」と説明したものの、相手は納得せず周囲から注目を集める結果となってしまった。
新幹線のホームでは、トイレや売店へ行くために一時的に列を離れる人は少なくない。一方で、荷物だけを置いたまま長時間その場を離れる人もおり、順番待ちを巡るトラブルも多く発生している。
ではAさんのケースのように、新幹線のホームで荷物だけを置いて順番待ちをすることは問題ないのだろうか。マナー講師の永田之子さんに話を聞いた。
荷物だけの場所取りはトラブルの原因に
ー新幹線のホームで荷物だけを置いて順番待ちをすることは、マナー上、どのように考えるべきでしょうか。
これは避けるのが望ましい行為だと考えます。Aさんのように困惑してしまう人が生じる行動をしないようにするのもマナーです。というのも、マナーを守るということは、周囲への配慮の表れだからです。
とはいえ、マナーは「必ず守らなければならない」というものではないので、守るか守らないかはその人の判断に委ねられる点はご注意ください。
ーでは、荷物だけが置かれていた場合、後から来た人はその後ろに並ぶべきでしょうか。それとも人がいない以上、無視しても問題ないのでしょうか。
駅員さんに相談するのがよいと考えます。というのも、荷物を置いたままにすることは、ほかの人の迷惑にもなりますし、置き引きに遭う可能性もあります。
これらの危険を避けるためにも、駅員さんに持ち主を探してもらうか、荷物を引き取ってもらうのが無難です。
ー公共の場で順番待ちをする際、利用者同士が気持ちよく利用するためにはどのようなことを心がければよいのでしょうか?
人に迷惑をかけないこと、規範やルールに従うことが大切です。もし荷物を置いてその場を離れなければいけない状態になったのなら、トラブルを避けるためにも荷物に「離れる時間と用件」を書いた紙を貼り付けるなど対策するのが望ましいです。ただし、周囲が納得できるような、ごく短時間に限られます。
自分たちが勝手に決めたルールは成り立ちません。社会や公共の場で定められたルールに従うようにしましょう。
◆永田之子(ながた・ゆきこ) マナー講師
元アナウンサー。話し方講師、マナー講師として、個人の魅力を引き出すマナー指導をおこなっている。全日本マナー検定上級資格、日本マナープロトコール(国際儀礼)資格を持ち、講演会やセミナー講師、司会者としても活動中。