人類がなぜ未だに宇宙人と接触できていないのか、その長年の謎を解き明かす新しい説が提唱された。
学術研究誌「The Astrophysical Journal」に掲載された研究論文で、筆頭著者である天文学者のヴィシャル・ガジャール氏は、地球外文明から発信されている「技術的信号」が、恒星風やプラズマ、磁場の乱れといった「宇宙天気」の影響を受けて、地球に届く前にゆがんでしまう可能性を示した。
「信号が自星の環境によって広がってしまうと、たとえ存在していても地球側の検出閾値を下回ってしまう可能性がある。これは、知的文明がテクノロジーを使った痕跡(技術的シグネチャー)の探索において見られる『電波の沈黙』の一部を説明する一因になり得る」とガジャール氏は説明する。
そして、沈黙のもうひとつの理由は、天文学者や研究者が「間違った形状」の信号を探している可能性だ。従来、研究者らは電波放射のヘルツ単位の電力における鋭いスパイクである「狭帯域信号」を探してきた。特定の周波数だけにエネルギーが集中した電波のことだ。
ダブリンのトリニティ・カレッジの天文学者エヴァン・キーン氏はオンライン科学ニュースサイト「Live Science」に対し、「こうした鋭い電波は自然界では発生しない。したがって、非常に狭帯域の信号が見つかれば、それは注目すべき何かからのものだと分かる」と語っている。
しかし、今回の研究により、地球外信号は母星や惑星周辺の宇宙天気によってゆがめられる可能性があることが判明した。つまり、科学者が狭帯域信号だけを探している限り、それらを捉えることはできないということだ。
この研究に関与していないマンチェスター大学の天体物理学者マイケル・ギャレット氏は「Live Science」に対し、「SETI(地球外知的生命体探査)の研究者や信号処理チームが注目すべき確固たる貢献だ。数十年にわたる宇宙探査機の観測データを活用し、実際の測定結果に裏付けられている点に強みがある」と評価した。一方で、狭帯域信号の分析は地球外生命を探すためのひとつの手法にすぎないとも指摘している。
電波の受信とは異なる研究アプローチとして、生命の兆候を大気から探す試みも進んでいる。スタンフォード大学が開発した新しいツール「STEHM(地球より小さい天体の居住可能性モデル)」は、高性能な望遠鏡を使ってどの恒星や惑星を優先的に調査すべきかを判断するソフトウェアだ。惑星が地質学的に十分に活発で、大気を持てる可能性があるかを分析する。
STEHMの開発を主導したミシェル・ヒル氏は「宇宙に生命の兆候があるかどうかを確かめる唯一の方法は、これらの惑星の大気を観測することだ。他の惑星の地下に生命が存在している可能性はあるが、系外惑星に探査機を送り込んで目視で確認することはできない。遠くから大気を分析して生命の兆候を探すことこそが、私たちに与えられた最善のチャンスだ」と述べている。