共働き世帯の増加に伴い、昨今では家事代行サービスを利用する人が当たり前に存在している。この流れから家政婦という仕事も需要が高まりつつある。家政婦の仕事は、60代以上のシニア女性でも働ける仕事として人気が高い。だが一方で、その実態や働き方の実態はあまり知られていない。
そこで現役の家政婦として働く杉本康子さんに、リアルな仕事内容や収入事情、知られざる苦労を聞いた。
ー家政婦の仕事をやろうと思ったきっかけは何でしょうか?
家政婦として働き始めたのは、2011年の8月頃です。同年6月に夫が急死してしまい、生活のために働こうと仕事を探していたら、タイミングよく家政婦の仕事を紹介されました。
年齢も60代で応募できる職種が限られていたこともあり、生活を安定させるために働くことを決めました。
ー求人はどこで探しましたか?
高校時代から親しい後輩からの紹介です。会う機会があった際に「中々仕事が見つからない」と相談したら、彼女の職場で新しい家政婦を探していることを知りました。
家政婦という仕事は、単に家事を代行するだけではなく、依頼主の生活の質や安心感を支える責任ある立場です。50年近い付き合いになる彼女だからこそ、「この人なら信用できる」と太鼓判を押して紹介してくれたのだと思います。
ー具体的な仕事内容を教えてください
個人宅を兼ねた歯科医院が私の職場です。普段から本業で多忙を極める先生の奥様が、少しでも仕事に専念できるよう、身の回りのお世話やさまざまな雑用をこなすのが主な役割です。
自宅の掃除、洗濯、買い物といった日常の家事はもちろん、広い庭の草むしりや花壇のお手入れも担当しています。さらに、水道光熱費などの公共料金のコンビニ支払いや、歯科医院で使用する備品の購入・精算などもすべて任されており、責任の大きさを日々実感しています。
ー2026年現在、時給はいくらぐらいでしょうか?
2011年の勤務開始時は時給1150円でしたが、現在は奥様との直接交渉で時給1250円で働いています。「長年働いている割には上がっていないのでは?」と思われるかもしれませんが、他のスタッフとのバランスも考慮した上で、納得してこの金額で引き受けています。
ー現在どのくらいのペースで働いていますか?
月曜日から土曜日まで、毎朝8時〜11時の3時間勤務です。 急な用事が入った場合でも柔軟に休みをいただけるため、非常に融通が利く職場で助かっています。
ー実際に働いて感じたメリット・デメリットとは?
自宅から職場まで、車で5分とアクセスが良いのが大きなメリットです。急な家の用事があっても早く仕事が終えられるので、仕事をする上でデメリットを感じたことはあまりありません。
あえてデメリットを言うなら、パート雇用のため有給が発生しないところでしょうか。病気で休んでしまうと給料が発生しないため、健康管理には人一倍気を配っています。
ー仕事の中で特に大変だったことや苦労した体験とは?
基本的には楽しく働いていますが、強いて言えば「真夏の草むしり」は体力を消耗します。お庭がかなり広いため、猛暑の時期は熱中症にならないよう気をつけながら必死に作業をしています。
単に草を抜くだけでなく、全体の美観を保つために時には新しい花の苗を買いに行って植えるなど、きれいに手入れし続けることへのこだわりも大切にしています。
ー家政婦はどんな人が向いていると思いますか?
細かいことに気がついて、報連相ができる人です。言われる前に気がついたり、自分から提案できる人は特に重宝されます。
家政婦の仕事は、日常的な家事の経験をそのまま活かせる職種だ。シニアの働き場所としても人気があり、職場によっては未経験でも採用されるケースも少なくない。
しかし、スキル以上に大切なのは、「責任感」と「信頼性」だ。依頼者の生活に深く関わる仕事だからこそ、誠実な人柄が重視される。家政婦の仕事に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてほしい。
●杉本康子(すぎもと・やすこ) 家政婦
静岡県在住の60代家政婦。日々の家事や買い物だけでなく、草むしりや花壇の手入れなどまできめ細かく対応。