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石破前首相、高市政権に提言「日米同盟に頼るのはそんなに素晴らしいこと?」「節約せず→必ず行き詰まる」

深月 ユリア 深月 ユリア
ホルムズ海峡封鎖への対応やエネルギー政策などで政権に問題提起する石破茂前首相=都内の専修大学神田キャンパス(撮影・白坂和哉)
ホルムズ海峡封鎖への対応やエネルギー政策などで政権に問題提起する石破茂前首相=都内の専修大学神田キャンパス(撮影・白坂和哉)

 自民党の石破茂前首相がこのほど、都内で行われた民間のシンポジウムに参加し、イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖が長期化した場合に「節約を呼びかけるのは当たり前」「ライフスタイルの変化をお願いしなければならないことはある」と高市政権に問題提起した。さらに、ガソリン価格の上昇を抑える補助金について、現状では「どこかで行き詰まる」と指摘した。その現場に主催者として同席していたジャーナリストの深月ユリア氏が、改めて注目される「石破発言」の詳細を綴った。

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 2022年のウクライナ戦争勃発後、筆者は日本での有事の際に避難するシェルター普及の必要性を訴える「命を守るシェルター協会」という任意団体を立ち上げた。石破氏に顧問就任を依頼したところ、二つ返事で引き受けてくれたことから交流が始まり、同氏はこれまで開催したシンポジウムに数回参加。首相就任前は単身で来場することもあったが、今回、筆者が有志と開催した「安全保障とシェルター」をテーマにしたシンポジウム(4月17日、専修大学・神田キャンパス))には、前首相という立場から、15人以上のSPや警察官が付き添い、(入口から会場までの)動線についても綿密な打ち合わせが行われた。

 そんな雰囲気の中、石破氏は中東情勢や大国間競争が緊張を増す中、日本の安全保障の課題について具体的な提言を行った。

 石破氏はまず、米国によるイラン攻撃について「先制防衛は国際法で認められている概念ですが、今回のイラン攻撃は米国にどんな差し迫った危険があったのかを示すべき」と指摘。その上で、「戦争が終わってから、どうやって中東の平和と安定、ホルムズ海峡の安全を確保するか、日本が何ができるかきちんと示すこと」が必要であり、「その大前提には国連決議がある、ということだと私は思っています」と、国際法と国連決議の重要性を強調した。

 戦争終結の在り方については、双方の国内政治を踏まえた出口戦略の必要性に言及。「かつて米国は(いくつかの戦争で)地上戦に失敗しています」とし、「イランも核開発が兵器に転用されないことを国際社会に示す必要があります」と述べた。

 さらに、石破氏は「終わってもらっちゃ困る…と、仮に思う勢力があるとしたら、どう抑えるかです」と指摘。「我々日本人は宗教戦争をあまり理解できないですが、『千年王国』を作るために最終戦争を戦わなきゃいけない、と本気で信じている人たちが納得する、というのはどういうことか。難しいことですが、もっと深く考えていく必要がある」とも語り、「それをやっていかないと、本当に第三次世界大戦になりかねないという危機感を持つべきだと思います」との見解を示した。

 安全保障の枠組みについては、いわゆる「アジア版NATO」にも言及。「ウクライナがNATOに入っていたとしたら、ロシアから攻められることはなかった」可能性を述べた上で、「中国、ロシア、おそらく北朝鮮という、核兵器ならびに核兵器の運搬手段のミサイルがあり、我が国と全く異なる価値観で、意思決定プロセスが民主主義のような仕組みではない国に囲まれている」と指摘。「米国の国力は相対的に落ちていて、『アメリカが世界の警察官』というのはバラク・オバマ元大統領の時代に『やめる』と言っています。日米同盟だけに頼るのは、そんなに素晴らしいことなのでしょうか」と問題提起した。

 ホルムズ海峡封鎖への対応については、「石油は中東だけに頼るのでは、多少高くなっても他の国のルートを模索すべき」とし、「節約は呼びかけた方がいい。日本のトップ、総理が誰であっても、ライフスタイルの変化はお願いしなければならないことはあるだろう、と思います。税金を使って、『どんどん使ってください、自動車に乗ってください』というのは必ずどこかで行き詰まりが出る」と現政権にエネルギー政策の転換を訴えた。

 一方、対中関係について、同氏は「中国と日本は隣国で引っ越すわけにはいかない。日本の首相は中国のトップと常に話ができるようにしておくのは大事なこと。中国の言うことを何でものめ…という意味ではなく、国益、立場が違うからこそ、そういう関係を作るという努力」を説き、「日本のGDPはかつて中国の7倍だったが、今は5分の1である」と強調した。

 また、石破氏はシェルター整備について「ミサイル攻撃を受けても『国民は死にません』と示すことが抑止力になる。『いかにして国民を保護するか』という思想の結実がシェルターだと思います」と強調し、「シェルター整備と共に重要なのは自衛官の待遇改善」と付け加えた。

 日本の安全保障はもはや「米国一強」任せでは成り立たない。独自の政策と選択が問われている。

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