今年でマイホームを建てて6年目を迎えたAさん。これまでの固定資産税は年間10万円ほどだったが、今年届いた通知には「約18万円」という数字が。家の価値は年々下がるはずなのに、なぜ税金が上がるのだろうか。正木税理士事務所の正木由紀さんに話を聞いた。
ーAさんのように、築6年目で急に税金が上がるのはなぜでしょうか?
これは役所のミスではなく、新築住宅に適用されていた「固定資産税の減額措置」が期間満了で終了したためです。
新築の戸建てやマンションには、一定の要件を満たすと、新築から数年間、建物部分の固定資産税が「半分」に減額されるという優遇措置があります。Aさんの場合、これまでその恩恵を受けて5割引きで納税していたものが、本来の税額に戻っただけ、というのが正体です。
ーこの軽減措置は、一般的に何年続くものなのですか?
住宅のタイプによって期間が異なります。一般的な新築戸建ての場合は「3年間」ですが、マンションなどの耐火・準耐火建築物は「5年間」に延長されます。さらに、Aさんのように戸建てでも「長期優良住宅」として認定を受けている場合は、特例で「5年間」の軽減が受けられます。
Aさんは築6年目で税額が上がったとのことですから、長期優良住宅などの認定を受けていたのでしょう。6年目の通知を見て初めて「そんな制度があったのか」と気づく方は多いのが実情です。
ー軽減措置が終わった後の納税額は、どの程度になると予想すべきでしょうか。
基本的には「建物部分の税金が2倍になる」と考えておけば間違いありません。
固定資産税は「土地」と「建物」に分かれますが、土地の軽減(小規模住宅用地の特例)は家が建っている限り続きます。一方で、建物部分の「5割引き」がなくなるインパクトは大きく、トータルの納税額で見ると1.5倍から1.8倍程度に跳ね上がるケースが一般的です。
ー急な負担増を抑える、あるいは少しでも税を安くする方法はありますか?
支払方法を工夫することで、実質的な負担を軽減できます。最近では多くの自治体でスマホ決済やクレジットカード払いに対応していますので、ポイント還元を受けることで数千円分の節約になります。
根本的な節税としては、将来的にバリアフリー改修や省エネリフォームを行う際に、再度受けられる別の軽減措置を申請するという手もあります。
何より大切なのは、住宅ローンとは別に「固定資産税の増額分」をあらかじめ積み立てておくという家計管理の意識です。数年後に必ずやってくる「本来の金額」を想定して、余裕を持ったマネープランを立てておきましょう。
◆正木由紀(まさき・ゆき) 税理士
10年以上の税理士事務所勤務を経て令和5年1月に独立。これまで数多くの法人・個人の税務を担当。現在は、社労士や司法書士ともチームを組み、「クライアントの生活をより充実したものに」をモットーに活動している。私生活では2児の母として子育てに奮闘中。