同じ映画でも、見る人によって感想は大きく異なるものである。しかし、ほかの人と一緒に見ることで感性が影響されることもあるようだ。漫画家・吉良いとさんの作品「水曜日午後5時、シアター前」では、偶然出会った感性が異なる2人の友情が描かれている。
アート系映画が好きなつくねと、エンタメ系映画が好きなまかろんは、映画館で偶然隣の席に座ったことから知り合った映画仲間だ。
つくねは、「まかろんが好きそう」という理由から自分に興味のない映画も見るようになる。「こんなありきたりなハッピーエンド、なにが面白いんだか」と思うつくねは、横を見るとまかろんは涙を流すほど感動していた。
そんなまかろんを見て、つくねは自分を卑屈で醜いと思ってしまう。本名も年齢も連絡先も知らなかった2人。つくねは「まかろんに会えなくなったら嫌だ」と思い、「連絡先を交換して欲しい」と打ち明けたところで物語は幕を閉じる。
読者からは「とても素敵な作品だった」「こんな出会いがあるといいな」など、さまざまな声があがっている。そこで作者の吉良いとさんに話を聞いた。
―作品を通じて、テーマや伝えたかった部分を教えてください
一歩を踏み出す勇気、です。
今の関係性でも十分なほど魅力的なふたりですが、一本の細い糸で繋がっているような状態で…。
いつもまかろんの積極性に助けられているつくねに、「自分から行動しないと失うものがあるかもしれない」と自覚してもらいました。
読者の方にも、共感できる部分がありますと幸いです。
―2人は隣の席に座った縁で知り合ったとのことですが、どのようなやり取りで仲を深めていったのでしょうか
海外で前評判が良かった映画で、座席がたまたま隣同士でした。
映画が期待通りじゃなかったつくねは悪態をつき、それをまかろんに拾われたのがきっかけです。
良かったところを熱弁したいまかろんは半ば強引につくねをご飯に誘いました。
ふたりのニックネームは、それぞれの好物が由来。
好みの映画が真逆すぎてなんだか面白く、お互いいろんな好物を言い合っている内にまかろんから「つくねちゃん」と呼ばれたのが始まりです。
―最後に作品やSNSなど宣伝をお願いいたします
ただいまwebを中心に商業誌&同人誌で執筆活動中です。
「幽霊が視える葬儀屋さん」シリーズ新刊はこの冬発売予定!
作品ともども今後の活動の方、ご注目頂けますと嬉しいです!
<吉良いとさん関連情報>
▽X(旧Twitter)に投稿された『「映画館」で会える名前も知らない友達の話』はこちら(タイトル:水曜日午後5時、シアター前)
https://x.com/kilightit/status/1993591625940103285
▽BOOTH『幽霊が視える葬儀屋さん 永遠の業』
https://kilight.booth.pm/items/7701040
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https://kilightit.localinfo.jp