宝塚歌劇団花組スターの極美慎が17日、大阪の梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで主演ミュージカル「DEAN」の初日を迎えた。8月に星組から組替えになり、これが花組生として初の舞台で、自身初の東上公演となる。
わずか3作の主演作を残し、24歳で夭折した稀代のスター、ジェームズ・ディーンの生涯を描いたもので、1976年にロンドンで初演。1981年に大地真央主演で宝塚バウホールにて上演し、1991年に安寿ミラ、1998年に絵麻緒ゆう主演で再演された伝説の作品。今回、27年振りに甦った。
極美は出てきた瞬間、華やかなまさにスター。その一方で、他人を寄せ付けず、若者らしいナイーブさを丁寧に演じ、衝動や葛藤を繊細に表現。アイコニックなデニムに白のTシャツに赤のジャンパー姿もよく似合い、少し猫背でタバコを吸う姿にも哀愁を漂わせ、まさにディーンそのもの。「エデンの東」「理由なき反抗」「ジャイアンツ」のシーンも組み込まれ、さまざまなディーンが演じた若者たちを、極美もまた見事に演じ切った。
生涯唯一の恋人ピア・アンジェリ役の美羽愛は生き生きとして可憐。またPR会社の豪腕社長の希波らいとは目を引く。「エデンの東」のエリア・カザン監督役の紫門ゆりや、「理由なき反抗」のニコラス・レイ一之瀬航季、コラムニストのヘダ・ホッパー役の美風舞良らが脇を締めた。また「スターになるのは一握りだけ」といったニコラス監督のディーンへのセリフが、その選ばれたスターになりながらも常に葛藤していた主人公の悲しみを浮き立たせていた。
大阪は23日まで。東京・日本青年館ホールは12月3日~11日。