登山家の野口健氏が29日、自身のX(旧ツイッター)に新規投稿。クマに襲われて人が殺傷される被害が相次ぐ中、市街地にも出没している状況を受けて危機感を示した。
野口氏は、この日早朝、山形県南陽市の赤湯小学校近くの道路でクマが目撃され、同小学校の来校者用入口の窓ガラスに激突する姿が防犯カメラの映像で確認されたという報道を引用し、「もう、歩いての通学は恐ろしすぎる。集団登校でも今のクマは安心できないだろう。家から出る度に怯えなければならない状況だと。山に餌が少ないというのもあれば、クマの数が増え過ぎているという話も。」とポストした。
さらに、同氏は「盛岡市の中心部に熊が現れる…。猟友会だけではとてもじゃないが追いつかないだろう。」と連続投稿。岩手県盛岡市の中心部にクマが出没し、札幌市では住宅の近くに現れて小学校が臨時休校となり、秋田県では人命を守るための緊急銃猟が実施されたというニュースを引用した。
28日夜に更新したXではクマの栄養源となるドングリの実をつける木が伐採されているという投稿を引用し、「森林の大量伐採により野生動物は住処を失う。」と指摘した。
野口氏は27日夜に更新したXで、人を襲ったクマが痩せ細っていたという報道を元に「熊も冬を前に生き延びるために必死になって餌を求めている。ドングリやブナは不作の周期が定期的に訪れる。極端に実を落とさないのである。そして、人間による森林破壊も野生動物たちの生活圏を奪っている。長期戦略としては森づくり。針葉樹林から混合樹林などに植え替えて行く必要があるだろう」などと指摘し、話を聞いたマタギ(大型獣の狩猟を生業とする人)の経験談も紹介した。
その上で、野口氏は「痩せ細り食べ物を求め里に降りてくる熊は可哀想だ。しかし、人と野生の熊が里で共存することは不可能だ。熊の命より人命を優先するのは当たり前のこと。里に降りてきた熊は駆除せざるを得ない。」と見解を示し、「ただ、その駆除した熊の命をちゃんと頂くこと。肉も毛皮も有り難く頂く。冬眠明けの熊なら漢方となる臓器(胆のう)も価値あるものに。命を奪ったからにはその命を無駄にしてはならない。マタギの方々からその姿勢を学びました。山を荒らす人間への怒りなのか又は助けを求めているのか、熊の叫びに銃口を向けなければならない人たちもさぞかし辛いだろうし、また命懸けである。」と綴った。