米ABCは、コメディアンのジミー・キンメル(57)が自身のトーク番組で行った発言を受け、長寿番組『ジミー・キンメル・ライブ!』の放送を無期限で停止すると発表した。発端となったのは、ユタ州の大学で保守活動家チャーリー・カークが射殺された事件に関するジミーのモノローグで、容疑者タイラー・ロビンソンが「MAGA(Make America Great Again)運動に属する人物だ」と示唆し、「MAGA勢は彼を自分たちの一員ではないと見せかけ、政治的得点を稼ごうとしている」と語った。MAGAはトランプ大統領の岩盤支持層として知られ、トランプ政権は放送免許取り消しの可能性を警告していた。今回の発表をトランプ氏は評価している。
この決定に対し、米最大の放送事業者ネクスター・メディアが強く反発。「地域社会の価値観を反映していない」として、ABC系列局で番組を別のコンテンツに差し替えると発表した。放送部門代表アンドリュー・アルフォード氏は「現時点で公共の利益にかなうとは言えない」と述べ、冷静な対話の再開を望む姿勢を示した。
今回の決定を受け、著名人たちが言論の自由の危機を訴えている。俳優で監督のベン・スティラーは「これは正しくない」と投稿。コメディアンで女優のキャシー・グリフィンは「今こそ声を上げるべき。彼を支えることがとても重要」と呼びかけた。同じくコメディアンで女優のワンダ・サイクスは「彼はウクライナ戦争もガザも解決しなかったが、言論の自由は終わらせた」とトランプ大統領を批判。女優のジーン・スマートは「彼の発言は憎悪ではなく自由な言論」と擁護した。