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作業中に急逝した伝説の作曲家、本人公認CDが念願の世界初発売 渡辺満里奈がFM特番のナビゲーターに

北村 泰介 北村 泰介
世界初となる本人公認の2枚組CD「ロジャー・ニコルス・ソングブック」のジャケット
世界初となる本人公認の2枚組CD「ロジャー・ニコルス・ソングブック」のジャケット

 1970年代に活躍した米国の兄妹デュオ・カーペンターズのヒット曲など数々の名曲を残し、今年5月に84歳で亡くなった米国の作曲家、ロジャー・ニコルスの集大成となる世界初の本人公認2枚組アルバムが8月に発売された。同30日深夜にはタレントの渡辺満里奈がナビゲーターを務める特集番組が全国のFM各局で放送される。本人と31年間に渡る親交があり、企画した〝アンソロジスト〟(編集者)の濱田髙志氏に話を聞いた。(文中一部敬称略)

 濱田氏はニコルスについて「カーペンターズの歌唱でヒットし、グラミー賞の殿堂入りを果たした名曲『愛のプレリュード』をはじめ、『雨の日と月曜日は』など、美しいメロディーを書いた作曲家で、彼の紡ぐ繊細で滋味深いメロディーはバート・バカラックやキャロル・キングらの楽曲のように、その名を知らずとも曲を聞けば誰もが口ずさめるものばかりです」と解説した。

 また、日本における位置付けについて、濱田氏は「彼が68年にグループとして発売したレコードが87年に世界初CD化され、90 年代から2000年にかけて大ヒット。時あたかも人気を集めた〝渋谷系〟にカテゴライズされるアーティストの聖典となりました。日本人が好む繊細な作風は時代を越えるスタンダードソングになっています」と付け加えた。

 「渋谷系」といえば、80年代末から90年代にかけて活躍したフリッパーズ・ギターやピチカート・ファイヴといったアーティストに先導された音楽ムーブメント。この時期にCD化されたアルバム「ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ」は日本の後追い世代による再評価のきっかけとなった。

 今回、濱田氏が本人と共に企画・監修した42曲入りのCD「ロジャー・ニコルス・ソングブック」には、そうした渋谷系の感性にマッチした「ドント・テイク・ユア・タイム」「ラヴ・ソー・ファイン」といったポップなソフトロックも収められているが、本人は「なぜそこまで支持されるのかわからない」と首をかしげ、日本での人気曲が実は〝変化球〟的な作品だったという証言が濱田氏の解説文で紹介されている点も注目される。〝直球〟のバラード曲や世界初CD化となる隠れた名曲も様々なアーティストの歌唱と共に収録されている。

   濱田氏は「このアルバムは8年前から企画し、5年前の生誕80周年の記念盤として発売すべく作業を進めていましたが、コロナ禍にまつわる機能不全で許諾申請した楽曲の可否が滞ったこともあって、そのまま塩漬けになっていました。昨年から、今年9月の生誕85周年に向けて仕切り直しの作業を進め、プレス用のコメントも本人からもらった数日後に体調を崩して残念ながら帰らぬ人となってしまいました」と経緯を振り返った。

  同氏は「初のロジャー公認ソングブックを本人に届けられなかったのは残念ですが、名曲揃いですし、彼が残した作品はこの先も聴き継がれるでしょう」と語る。ニコルスは「素晴らしい!この作品集が発売されることをとてもありがたいと思う」などと生前最後のコメントを残した。

 一方のFM特番は「ミッドナイト・ダイバーシティ~正気のSaturday Night〜ロジャー・ニコルス・クロニクル」と題され、J FN系列各局で30日深夜0時から22局、同1時から25局で、2時間枠(一部を除く)にて放送。渡辺をナビゲーターに、濱田氏や、アメリカンポップスに詳しく、サザンオールスターズの〝名付け親〟にして、山下達郎のFMラジオ番組でもおなじみの音楽評論家・ディスクジョッキーの宮治淳一氏が出演する。

 濱田氏は「代表作はもちろんのこと、未発売楽曲や未発表テイクを含む貴重な音源を交えて彼の生涯をたどります。また、ゲストにロジャーとソングライターチームを組んでいた作詞家のポール・ウィリアムスを迎えて思い出や創作秘話を語ってもらいます」と予告した。

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