底なし伝説が残る赤目四十八滝(三重県名張市)の滝つぼ調査が行われた。
室生赤目青山国定公園内にある連なった滝が人気の観光スポット、赤目四十八滝で初の潜水調査が行われた。多くの滝の中から4つの滝つぼを調査し、「底なし」という伝説のあった「竜ヶ壺」にも潜水。果たして内部の様子はどうだったのか?調査を行った赤目滝水族館の館長、朝田光祐さんに話を聞いた。
――今回の調査の目的は?
朝田:水族館では渓谷内の滝壺を模した水槽を展示しているわけですが、ふと「あれ、自分の眼で滝壺のリアルを見たことないじゃないか?」と気付きました。よりリアリティーある、本当の情報、本物の展示を作成すべく調査に至りました。
――調査方法は?
朝田:スキューバダイビングによる潜水調査です。水中ライト、記録用カメラ(go pro)を装備し、滝壺の一番深くまで行きダイブコンピューターによって水深を測った後、生物や風景の記録をとりました。
――「底なし」と伝説の滝でしたが…。
朝田:今まで底なしと信じられてきた滝壺「竜ヶ壺」ですが、実際の水深は6.5メートルでした。残念だという感情は全く無く、むしろ調べた形跡のない情報を明らかにし、発信できるのは面白かったです。地上から見てイメージしていた滝壺と潜ってみた景色は違っていて、他の滝壺への興味が湧きました。
――オオサンショウウオの生息地として有名ですが、どんな生き物が観察できましたか?
朝田:今回は残念ながらオオサンショウウオには出会えなかったのですが、カワムツ、アブラハヤ、ムギツク、カワニナ、カワヨシノボリ、ツチガエルなどが見られました。タゴガエルらしき卵も発見したのですが、水深7メートルほどでの産卵の記録が日本にない事や、産卵時期が違うことから確定できず、現在調査中です。
――印象的で心に残った光景はどんなものでしたか?
朝田:布引滝という一本線を描くような大きな滝があります。そのものすごい水量がある滝の流れに逆らう大量のヨシノボリ達。そして、滝壺からの光指す淡水中世界。まさに水族館が展示すべき風景でした。
――今後の予定は?
朝田:まだ潜っていない滝が約20個ほどあるので、調査を続ける予定です。全ての水深や水中風景を明らかにして、お客さんにリアリティーある情報を展示することが目標です。今回目撃した風景を模した展示水槽も今後作成予定です。
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赤目四十八滝は「日本の滝百選」「森林浴の森百選」「遊歩百選」などにも選ばれる、自然を満喫できる約4kmの渓谷で、トレッキングコースや散策コースが整備されている。緑の中で様々な表情を見せる滝は夏に一層輝く。足を運んでみてはいかがだろうか。
赤目四十八滝 HP
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