宝塚歌劇団星組新人公演「阿修羅城の瞳」が14日、兵庫・宝塚大劇場で行われ、105期の稀惺かずとが2度目の主演を果たした。
トップオブトップ礼真琴の退団公演でもあり、劇団☆新感線とのコラボということもあり、注目を浴びた作品。稀惺はそんなプレッシャーを見事にはねのけ堂々と病葉出門を演じた。
本役の礼は三拍子そろった実力派だが、稀惺も透明感と伸びのある歌声を披露。舞台姿も華があり、観客の目を引きつける。口跡もよく、スピーディーな台詞回しもきっちりと客席に届けた。
新人公演に出演する最高学年の7年目。その研7の中でも特に成績が最もよい「長の長」という立場と、「主演」の両方の立場で、終演後は一人で舞台あいさつを受け持った。「山積みの課題に時間が足りず、間に合わないのでは何度も思いました。尊敬してやまない礼さんの卒業公演という大切な作品」と位置づけた今回。「新人公演メンバーが、上級生の背中を目に焼き付けて、舞台に向き合う厳しさ、尊さを学ばせていただいた日々でした」と振り返った。
さらに「自分のさだめをしっかり全うできているのか…と何度も頭をよぎりました」と声を震わせた。それでも「やらないわけにはできない。自分たちの限界まで突っ走っていきたい」と決意を新たにしていた。
またヒロインの闇のつばきは次期トップ娘役で105期の詩ちづるがつとめた。本役が次期トップスターの暁千星で、華やかでときに強さを感じさせる役を、娘役らしく、ふとした瞬間に可憐さを感じさせる役に作り上げた。稀惺との歌も素晴らしく、同期らしい息の合ったところを見せた。
病葉出門を付け狙う安倍邪空役は大希颯。本役の極美慎とはまた違った役作りで挑戦。線が太く、宝塚の男役然とした大希の魅力を際立たせた。主演コンビと同じく105期で、「RRR×TAKA"R"AZUKA~√Bheem~」で主演したことで、さらに男役としての華と押し出しが出てきた。
東京宝塚劇場の新人公演は7月10日。