ついに、ロボットが“就職”する時代となった。ボストン・ダイナミクスの最新型ヒューマノイドロボット「アトラス」は、自動車部品の仕分けや重量物の運搬といった複雑な作業を行うことが可能で年内に韓国・現代自動車の米国内の生産施設に導入される予定だという。
映像を見ると、アトラスは走ることはもちろん、這うことや鮮やかな側転も可能。ボストン・ダイナミクスのロボティクス研究上級ディレクター、スコット・クインダースマさんは「年内にこのアトラスを、現代自動車の米国内の製造施設に導入する計画だ。これは、今後数年間で解決を目指す課題の実地環境において、ロボットの現時点での能力を本格的に実証するのが目的だ」と説明した。
アトラスが製造現場に展開されるようになった背景には、人工知能および大規模言語モデル(LLM)の進化がある。クインダースマさんによれば、これらの技術はロボットの能力を大きく向上させる可能性があるとし、「もしこの数年でこの分野が前進すれば、それは本当の意味でゲームチェンジャーになる可能性がある」と話した。
もちろん、課題もある。希少金属の制限などサプライチェーンの問題は、ロボット用バッテリーの組立てに影響を及ぼす可能性がある。またボストン・ダイナミクスはテスラなどの競合他社との競争にも直面している。
アトラスのような“人型ロボット”が将来、家庭に導入される可能性もあるものの、クインダースマさんは、安全性の観点から当面は産業用途に限定されると推測しており「実際にヒューマノイドにやってもらいたい仕事の多くは、人間にとっては腰を痛めるような重労働であり、極めて過酷で人間工学的に不適切な作業であるにもかかわらず、人間がやることを求められている作業だ。我々は、こうした作業にこそロボットが適していると考えている」と話していた。