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創業111年 伝説的映画館が〝幻の秘蔵フィルム〟6作品を公開 地元福島では「ローマの休日」上映

北村 泰介 北村 泰介
ⓒ Jag_cz/stock.adobe.com
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 1914(大正3)年に創業し、1963(昭和38)年の閉館後も不定期で上映を続けている映画館「本宮映画劇場」(福島県)が今年で「111周年」を迎えることを記念し、半世紀以上も保管した〝幻の秘蔵フィルム〟6作品を5月1日から都内の映画館で公開する。また、6月には地元・本宮市の同劇場で映画「ローマの休日」を71年ぶりに上映する。

 会場は旧作邦画の上映館「ラピュタ阿佐ヶ谷」(東京・杉並区)。「六邦映画 6つの桃色秘宝 2025」と題し、〝伝説〟の映画製作・配給会社「六邦映画」の69~73年に公開された貴重な6作品を各5日ずつ、5月1日から6月2日まで午後9時開始のレイトショーで順次上映する。

 日本映画の作品情報などが掲載されている刊行物「映画年鑑」によると、六邦映画の創立は64年で、73年まで成人映画というジャンルで数多くの作品を世に送り出している。今特集には、日活ロマンポルノでスター女優となった谷ナオミの出演作が「性のピンチ」(73年)など4作品含まれる。また、後に監督になった女優・珠留美が主演した「情怨のおとし穴」や「競艶おんな極道 色道二十八人衆」(共に69年)といったレア作品も注目される。

 「場末のシネマパラダイス 本宮映画劇場」(21年、筑摩書房)という著書がある3代目館主の田村優子氏は「六邦映画は昭和40年代に存在したピンク映画の会社です。場末で上映され、今ではほとんど情報が見つかりません。ただ、この時代の特徴として、お色気シーンになると(それまでの白黒画面が)突然カラーになる『パートカラー』も見どころです」と注目点を指摘した。

 その上で、同氏は「令和元年(2019年10月)東日本台風による水害で被災し、生き延びた作品もあり、傷みや劣化、褐色はありますが、おそらく世界に1つしかないプリント。50年間、眠っていたフィルムが映写機の灯によってスクリーンによみがえります。劇場の暗闇の中でフィルムは生きていることを実感してください」とコメントを寄せた。

 また、優子氏の父で88歳の二代目館主・田村修司氏は「有名じゃない映画会社の作品だけど、こんな映画もあったんだって、ぜひ見てほしいし、お客さんいっぱい来てくれっとうれしい」と公式X(@motomiyaeigeki)を通じて呼び掛けた。

 さらに、6月7、8日の両日、本宮映画劇場でも1954年に公開されたオードリー・ヘプバーン主演の「ローマの休日」を上映。優子氏は「(同作以外では)日本でおおむね唯一稼働しているカーボン式映写機で〝おまけ映像〟も上映します」と予告した。現存する東北最古の映画館である唯一無二の会場で映画を楽しめる貴重な機会になりそうだ。

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