漫才師・豪快キャプテン、東京には「行きたくない」けど「行きたい」 大阪を沸かす2人が見据える先

藤丸 紘生 藤丸 紘生
初全国ツアーを開催する豪快キャプテン・べーやん(左)と山下ギャンブルゴリラ(撮影・藤丸紘生)
初全国ツアーを開催する豪快キャプテン・べーやん(左)と山下ギャンブルゴリラ(撮影・藤丸紘生)

 漫才コンビ・豪快キャプテンが初の全国ツアー「頑張れ!豪快キャプテン」(5月10日、大阪・よしもと漫才劇場。ほか東京、愛知、広島公演。大阪公演のみ配信あり)を開催する。「M-1グランプリ」では2年連続で準決勝に進出し、ブレークを予感させる2人がこのほど、よろず~ニュースの取材に応じ、全国ツアーやM-1、東京進出への思いを語った。

 ひょうひょうと話すボケ・べーやん(30)に、ツッコミ・山下ギャンブルゴリラ(36)が妙に丁寧な言葉遣いで熱く勢いよくツッコむ、王道のしゃべくり漫才が持ち味。拠点は大阪だが、M-1効果もあって初の全国ツアーは既に全公演が完売。山下が「完売するとは思っていなかった。手売りもせなあかんのかなと思っていたんですけど…」と話せば、べーやんも「びっくりですね」と続けた。

 これまで単独ライブですら完売の経験がなかったという2人にとっては「喜び」よりも「驚き」が強かった。それでも、べーやんは「気合を入れた方がいいんでしょうけど、気合を入れないように。『全国各地で単独ライブをただするだけ』という気持ちでやっていけたらなって思います」と平常心。迫力たっぷりの漫才スタイルと異なり、普段の2人からは肩肘張らない空気が流れる。山下は「僕らは結構めんどくさがり」と話し、べーやんも「その点に関しては2人の足並みは非常にそろっている」と同調した。

 そもそも、全国ツアー自体も以前から打診を受けていたが、なかなか覚悟が決まらなかったという。山下は「何回も声をかけてもらってたんで、重い腰をあげて…やりましょかという感じです」と表現した。「舞台に立ちたい」というのは共通の思いだが、2人とも積極的にライブを主催するタイプではなく、いつしか「主催ライブをどうやって打ったらいいか分からない。いつまでに、誰に、何を言うたらいいのか、そういうのが分からないまま。時代に取り残された感じですね」と山下は苦笑いを浮かべる。

 では反対に、2人がこだわってきたものを聞くと、山下は「漫才をやるってことじゃないですかね。コントはほぼしたことないです」と答えた。

 ネタはほとんど文字に起こさず、2人の会話から昇華させていくストロングスタイル。「最初は文字に起こしてやってたんですけど、全然うまいことできない期間があった。それで、直前にぱぱっとしゃべりながら作ったネタのほうがウケが良かった」(山下)と、王道のしゃべくり漫才を武器に大阪で頭角をあらわした。

 M-1では23年に初めて準決勝に進出。24年も2年連続で準決勝まで駒を進めた。大阪で行われる予選では抜群のウケで“無双状態”に近い。しかし、東京で行われる準決勝では本領を十分に発揮できていない。敗退した悔しさもあるが、山下は「準決勝でウケたのに負けたなら、めっちゃ悔しいと思うんですけど、まだその段階までいけていないので。悔しいのは悔しいんですけど、なんでウケんかったんやろう…という悔しさですね」と明かした。

 大阪でウケる部分が東京ではウケない、その逆もまたしかり。そのギャップをつかみ切れていない現状に、べーやんは「地道に知ってもらうしかないですね」と語った。また、べーやんは昨年のM-1で準優勝に輝いたバッテリィズの2人と同期。「バッテリィズが決勝に行ったので、そういう悔しさはあったりします」と戦友が決勝の舞台で輝く姿に思うものがあったという。

 そのバッテリィズは準優勝を機に、一気にブレーク。4月から東京に進出することを決めた。それに限らず、近年は大阪吉本所属の芸人が次々と拠点を東京に移している。2人に将来的な東京進出を聞くと、「ゆくゆくは行きたい」(山下)、「戦いにいかないといけないとは思います」(べーやん)と答えた。ただ、山下は「行かんでいいんやったら行きたくないですね」と相反することも語った。

 行きたくないけど行きたい―。山下は「将来NGKで漫才するためには全国で売れていないと。そのために(東京に)行きたい」と続けた。19年のM-1王者・ミルクボーイのように、優勝後も大阪に残り劇場で漫才を磨き続けるという“例外”はあるものの「ミルクボーイさんのようになれるんであればそれもいいですけど、ああいう風になれる感じもないので、東京に行ってテレビに出て頑張りたい」と真意を語った。

 全国ツアーを通して、M-1で勝負できるネタを育んでいきたいとも語った2人。M-1も、東京進出も、見据える先は全て劇場での漫才に通じている。

 ◆豪快キャプテン べーやん(1994年10月2日、広島県出身)と山下ギャンブルゴリラ(1988年7月16日、兵庫県出身)によるコンビ。吉本興業所属。べーやんはNSC大阪36期、山下は同35期。別々のコンビで活動していたが同時期に解散したことをきっかけに、2019年5月27日に結成。王道のしゃべくり漫才で頭角をあらわし、「M-1グランプリ」では23、24年と2年連続で準決勝進出。

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