「西成ゴロー」など話題映画の監督・上西雄大が還暦の舞台で熱演 ロマンポルノ、キカイダーの伝説俳優も

北村 泰介 北村 泰介
自身の還暦を記念した主宰劇団の公演でブルース・リーになりきった俳優・演出家の上西雄大=東京・下北沢の「劇」小劇場
自身の還暦を記念した主宰劇団の公演でブルース・リーになりきった俳優・演出家の上西雄大=東京・下北沢の「劇」小劇場

 映画「ひとくず」「ねばぎば新世界」「西成ゴローの四億円」など話題作の監督として活躍する俳優・演出家の上西雄大が主宰する映像劇団「テンアンツ」の公演「その男 ホーネット加藤」が11日に初日を迎え、22日まで、東京・下北沢の「劇」小劇場で上演される。(文中敬称略)

 第57回公演となる同作は、今年で還暦を迎えた上西の「60周年記念公演ファイナル」と題された。舞台の前説を生業とする主人公・ホーネット加藤と生き別れの娘を巡る物語「〈vol.1〉燃えよ前説ドラゴン」、別れた妻も絡んで敵グループとの死闘が展開される「〈vol.2〉ドラゴン孤独の鉄拳」という2本立て。最終日は、この2演目の合わせ技で笑いあり涙ありの物語「〈千秋楽SP〉燃えよ前説ドラゴン愛のテーマ」という特別版となる。

 上西が作・演出、主演を務める。さらに、1980年代初期の日活ロマンポルノを支えた看板女優の一人で、クエンティン・タランティーノ監督の「キル・ビル」など数多くの作品に出演してきた風祭ゆき、伝説の特撮テレビドラマ「人造人間キカイダー」(72-73年放送)の主人公を演じた伴大介、深夜番組「トゥナイト2」のリポーターなどを経て現在は舞台女優としても活躍する岡元あつこら多彩なキャストが舞台を彩る。

 少年時代から憧れたブルース・リーにオマージュを捧げた上西。リー主演の映画「燃えよドラゴン」ばりのアクションを披露する一方、中年男の悲哀や揺れ動く人情の機微を表現した。

 上西はよろずニュースの取材に対して、「東京と大阪の両方をベースに動いています。関西から出てきて東京で役者をやっているという設定なので、地は関西弁だけど、標準語もしゃべるという役です」と自身に重ねて説明。映画作品を世に送り出しながら、小劇場での芝居にこだわる姿勢について「もともと僕は劇団からやっていて、舞台が基本ですので、その思いを込めています」と原点を示した。

 今回注目された「2本立て」形式について、上西は「還暦記念公演で面白いことをしようということで、前回(9月)の公演『探偵ハ物語』を2本立てにして喜んでいただいたので、今回も2話にしました。今年初めての試みです。1話だけでも楽しめますが、2部作なので、続きを観るとさらにドラマチックな展開が待っています」と解説した。

 前作でオマージュを捧げた松田優作と共に、今作で意識したブルース・リーは〝アラ還男子〟のヒーローでもある。上西は「ブルース・リーは僕にとって最大の憧れ。(シークンドー風の殺法は)独学です」と笑顔をのぞかせ、「今公演は長丁場。連日、いい舞台を作っていきたい」と意欲を示した。

 また、年輪を重ねた大人の女性を演じた風祭は当サイトに対して「私は上西さんが監督された映画に出演して、舞台も今年9月の公演から出させていただいています。上西さんのセリフには『真心』がこもっていて、それをこちらも『心』で受け止めるというキャッチボールは楽しく、またある時は切なく、いつも心を揺さぶられます。映画監督、舞台の演出家としても『心』を一番大切にしてくださいます。上西ワールドを心ゆくまで楽しんでくださいませ」と〝心〟をキーワードに挙げ、「これからも、ぜひぜひ出させていただきたいと思っています」と前向きだった。

よろず〜の求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース