「うる星やつら」ラム役の上坂すみれ あたるへの「ラムちゃんはどうしてずっと好きなの?」からの心変わりとは

山本 鋼平 山本 鋼平
TVアニメ 「うる星やつら」展で販売されるカチューシャをつけて取材に応じた上坂すみれ=都内
TVアニメ 「うる星やつら」展で販売されるカチューシャをつけて取材に応じた上坂すみれ=都内

 昭和を代表する人気アニメのリメイクで注目を集めた「うる星やつら」令和版でヒロイン、ラムを演じた声優・上坂すみれさんがこのほど、よろず~ニュースの取材に応じた。ラムの角を彩ったカチューシャ姿で登場する気配りを見せつつ、ラムを演じ終えた現在の心境を、「ダーリン」諸星あたるへの思いを中心に聞いた。

 「うる星やつら」は1978年から87年まで「週刊少年サンデー」で連載された高橋留美子さんの名作SFコメディで、昭和版テレビアニメは81年から86年まで放送され、劇場版、OVAでも人気を集めた。生まれる前の出来事だが、上坂さんは再放送などで作品に親しんだ。2022年から今年6月まで2期に分け全46話が放送された令和版で、ラムを演じる以前から熱心なファンだった。最終話放送から4カ月近くが過ぎた。神谷浩史さんが演じたあたるにへの思いを尋ねた。

 「学生時代に初代のアニメ、原作を読んでいた時は、本当になんていい加減な男の子なんだって思いました。ラムちゃんはどうしてずっと好きでいられるのか、不思議な気持ちでした。でも、いざ自分がラムちゃんの声を担当させていただいて、演じてみて思ったのは、(あたるは)極度のツンデレ。すごく好き勝手やってるけれど、ラムちゃんにほっておかれたり、いなくなると、途端に大慌てして、ラムちゃんが(宇宙に)帰っちゃったんじゃないかって焦って、(ラムの)お人形を大事に握りしめたりする。ラムちゃんの気を引こうという気持ちもあって、ガールハントしてるんじゃないかな。自分が大人になったのか、あたるを許せるようになりましたね。ラムちゃんにヤキモチを焼かせたいのかなと思うと、すごくかわいいとも思う」

 自身が年齢を重ねことに触れたが、きっとラムを演じる当事者になったことが影響したのだろう。あたるの捉え方が変わるような印象に残る回、節目はあったのだろうか。

 「本当に早い段階で、原作のメインエピソードのひとつ『君待てども』(第5話)とか『君去りし後』(第10話)とか、ラブ度の高いエピソードが描かれていて、あたるはちゃんとラムちゃんを見てるんだって気づかせてくれたので、やっぱりそういうエピソードがターニングポイントになるんじゃないかなと思います」

 繊細な演技が求められるエピソードでも、意外に感じるほどアフレコは順調だったという。

 「うる星やつらのアフレコって信じられないぐらい早く終わっちゃうんですよ。音響監督さんが天才的な感覚の持ち主というか…議論して直すというよりも、私たちに任せてくれるというか。解釈が違ったら『違う』と言ってくれるんですけど。なので他のドタバタの話数と、かかった時間やディレクションが変わらずに収録は終わりました」

 第1期のアフレコはコロナ禍とも直面。第1期で4人、緩和された第2期でも7人ほどが一緒に演じる上限だったという。

 「コロナ禍真っ只中は、最大で4人ぐらいしかキャストが一緒に録れない時期でした。全員で録れる環境はなかったけれど、全ての話数でラムちゃんとあたるは、掛け合いを行うことができました。あたるがこんなに優しい感じで来てくれるんだ、こんな言い回しになるんだ、ということをアフレコで体感できたことはすごくありがたかった。本当は『うる星やつら』って、20キャラ位がいっせいに話すので、いつか全キャスト勢ぞろいで収録したら本当に楽しいだろうなあ」

 「スター☆トゥインクルプリキュア」キュアコスモ、「アイドルマスター シンデレラガールズ」アナスタシア、「BanG Dream!」白鷺千聖、「ガールズ&パンツァー」ノンナ、ぴよたんなど、多くの人気キャラを演じてきた上坂さん。あたる役の神谷さんも「ONE PIECE」トラファルガー・ロー、「進撃の巨人」リヴァイ、「夏目友人帳」夏目貴志、「黒子のバスケ」赤司征十郎など、数多くの人気キャラを担当してきた。「うる星やつら」では、どのような刺激を受けたのだろうか。

 「神谷さんはキャリア的にももちろん大先輩なんですけれども、キャストの誰よりも『うる星やつら』を愛している。だからベテランさんなのに、誰よりも少年に戻って楽しそうにお芝居をされていました。先輩がすごく楽しそうにしているのを見ていると、肩の力がすっと軽くなるというか、もっと楽しんでいいんだと、背中で教えてくれました。神谷さんのあたるは、本当にちゃらんぽらんで、お仕置きしがいのある軽薄な雰囲気が漂っていて、すごく素敵でした」

 ラムの演じ手から離れて、上坂さん個人としては、あたるのことはどう思うのだろう。「そうですね…。すごく体力が無限というか、めちゃくちゃタフな男子だと思います。めげたり落ち込んだりしないので、そういうタフさは、カッコイイのかは分からないけれど、友達としてはすごく楽しいなと思います」と、いたずらっぽく語った。

 ラムを演じたことは、キャリアの大きな実績として残ることは間違いない。勲章であり、重圧でもあるはずだ。声優として、今後の決意を聞いた。

 「『うる星やつら』は今後、何十年も何百年も愛されていく作品だと思います。私もラムちゃんの声を、いくつになっても〝ラムちゃんやってください〟って言われたらできるように、何より健康でいなくちゃなって思います。ラムちゃんに出会えて、本当に声優として、新しい一歩を踏み出せたと感謝しています。これからいろんな場面でラムちゃんに恩返ししていけたらいいなと思います」

 テレビシリーズで叶わなかった大人数でのアフレコなど、夢は残っている。ラムに〝再会〟することも見据えて、上坂さんは歩みを進めていくのだろう。

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◆テレビアニメ「うる星やつら」展(10月2日~14日まで開催、東京・松屋銀座) 「あたると一緒にガールハント!!」をコンセプトに、個性豊かなキャラクターの紹介を中心に、昭和×令和の懐かしさと新しさが混在したTVアニメ「うる星やつら」の魅力を紹介。アニメの貴重な設定資料のほか、ラムの立体フィギュアなどが展示される。上坂さんがこの日着用したラムのカチューシャ等のグッズも会場販売される。上坂さんは「とっても豪華で見応えのある展覧会です。たくさんの方にぜひ見ていただきたいです」と呼びかけていた。

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