「お盆」には死者の霊魂が現世に帰ってくるとされ、古来、霊と交感し、鎮魂する行事が行われてきた。夏は「怪談」の季節。国内1100か所以上に足を運んだ心霊探検家・怪談作家の濱幸成氏が、よろず~ニュースの取材に対し、日本各地にある心霊スポットの一部を紹介した。
濱氏は福岡県出身の34歳。小学生の時にテレビの映像で衝撃を受けた「生首の幽霊」が何年にもわたって夢に現れるという体験を経て怪談マニアに。中学2年で地元の「幽霊が出る小学校」に友人と行ったところ、裏庭にある細長い石碑の横に浮かび上がる〝オレンジ色の生首〟を目撃。濱氏は「今でもあれは幽霊だったと思っています」と原点を振り返る。
20代半ばから車中泊をしながら47都道府県の心霊スポットを回り、併行してアジア各地でも取材。作家として昨年8月に「福岡怪談」(竹書房)、今年7月に「アジアの心霊スポット100選」(東京キララ社)などの著書を世に出し、自身のYouTubeチャンネルやX(@hamayukinari)でも情報発信している。
この夏は伊豆大島で働きながら、心霊スポットを探索中…ということで、過去に訪れた「離島」から代表的なスポットを2点、紹介してもらった。
「小笠原諸島(東京都小笠原村)の父島には『汗をかく首なしの二宮金次郎像』があります。第2次世界大戦の敗戦によって米国領になった後、日本に返還されて米兵が本国に帰る時(1968年)、お土産に二宮金次郎像の首を持って帰ったことから、いまだに『首なし金次郎』として残っていて、ちょっとした観光地になっています。『夏の夜に汗をかく』という離島の心霊スポットとして個性的で面白いなという印象がありますね」
「徳之島(鹿児島県大島郡)にある『フィリピン村』です。島内の天城町がフィリピンの都市と30年ほど前に姉妹都市提携を結んだ時に作られた公園なんですけど、実際は交流もなく、事実上、提携解消みたいになって、そのまま放置されています。ただの『廃公園』ではなく、近くに防空壕があるという話もあり、また地元では賭博が原因で自殺する人が多く、上流にある橋から飛び降りた人がフィリピン村に流れ着いて幽霊が出るという話があります。地元の人以外にはあまり知られていない心霊スポットです」
知名度がある〝定番〟の心霊スポットも挙げた。
「熊本県の阿蘇大橋(70年開通)はかつて100人以上(※諸説あり)が飛び降り自殺を遂げており、私自身も不思議な体験をした場所です。熊本地震(16年)で崩壊したため、現在あるものは新阿蘇大橋(21年開通)です。また、青木ヶ原樹海(山梨県富士河口湖町)も自殺の多い場所として日本で1番有名です。しかし、遊歩道もあり、日中であれば安全に散策を行うことができますので、ビギナーにもお勧めの心霊スポットです」
メディアには名前を伏せた方がよい場所もあるという。そこで、強烈な経験をした。
「一番危ない体験を中国地方の某市にある廃屋でしました。すごく強い霊がいて、家に入った者を攻撃するといわれていました。竹藪の中にある二階建ての一軒家。友人がカップル2組の計4人で中に入った時、同行した女性の太ももを女のような細い腕がつかんでいる写真が撮れたんです。その女性は数日後、交通事故に遭い、その手で捕まれた箇所を打撲しました。さらに、撮影者の男性とその家族が入浴中に風呂場の換気口から出てきた女の人の細い手を目撃。僕もこの人たちの話を聞いて、後日、単身で撮影に行った直後から1か月くらい胃の痛みが続いた。痛みが消えて数か月後に怪談イベントで霊能者の方と話していると、『濱さん、胃、大丈夫ですか』と聞かれた。『なんでですか』と聞くと、『女の人の細い腕が濱さんの体の中に手を突っ込んで胃をつかんでいるのが見えたから』と言われて怖くなりました」
心霊スポット体験について、濱氏は「聖地巡礼に近いところがあるかもしれないですね。元気になるというか、ポジティブな気持ちになるところもあります。やっぱり(幽霊は)いるんだと思うことでエネルギーになる」と指摘した。
心霊体験によって、彼岸に存在する別の世界を実感することで、此岸(しがん)にある自身の「生」をより強く感じられる。そこから生まれる「ポジティブ」…。濱氏の言葉をそう解釈した。