物議かもしたパリ五輪開会式に〝トンデモ陰謀論〟「人口削減のために起こる戦争、疫病を予告」識者が解説

深月 ユリア 深月 ユリア
エッフェル塔(Guillaume Louyot/stock.adobe.com)
エッフェル塔(Guillaume Louyot/stock.adobe.com)

 パリ五輪開会式で「ドラァグクイーン」らが登場した場面にキリスト教関連団体や欧米の極右・右派の政治家らから非難が相次ぐなど物議を醸している。ドラァグクイーンやトランスジェンダーのモデルらが登場し、レオナルド・ダビンチの名画「最後の晩餐」をパロディー化した演出などが問題になったが、一方ではタブーに切り込んだ斬新な表現として評価する声もある。賛否両論の中、ジャーナリストの深月ユリア氏が、その背景にある「陰謀論」を説く識者に話を聞いた。

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 パリ五輪の開会式の演出が物議を醸し出している。フランス革命でギロチンで首をはねられたマリー・アントワネットの生首が歌い出す演出と共に、メタルバンドの演奏が行われ、血しぶきを連想させる深紅のリボンが会場を包み込む。

 そして、何よりパリ五輪のスポンサー企業からも問題視されているのは、多様性を強調するために、トランスジェンダーやドラァグクイーンが歌い踊るシーンが数多く盛り込まれているのだが、その中にイエス・キリストが十字架に磔(はりつけ)にされる前夜の「最後の晩餐」をモチーフにししたシーンがあり、皿の中にドラァグクイーンが出現したり、(故意ではないにしても)一部の出演者の男性器が露出しているのだ。

 さらに、旧約聖書において「悪魔崇拝のシンボル」とされる「金の子牛像」や、ハルマゲドン(世界の終末)直前に出現し、疫病をもたらすとされる「青ざめた馬」が登場していて、開会式の「マリー・アントワネット」の描かれ方も血のような深紅のドレスに金髪のアップスタイルで、ドイツの著名な画家ハンス・ブルクマイアーの木版画に描写されるハルマゲドン直前に人類を堕落させるという「バビロンの淫婦」に似ている、という指摘もある。

 このような演出に関して、キリスト教界からは批判の声があり、米国の実業家イーロン・マスクも「キリスト教に対して極めて敬意を欠いている」とXに投稿した。インターネット上では、「斬新で攻めた演出」、「暗い歴史から目を背けないのがフランスらしい」 という評価がある一方、「まるで悪魔教の儀式」、「イルミナティ(陰謀論において世界を牛耳る、とされている闇の支配層)のメッセージだ」という見解も飛び交っている。

 オカルトや民族学に詳しい作家の山口敏太郎氏によると、「パリ五輪の開幕式は悪魔崇拝をしている勢力(世界を牛耳る闇の支配層)が、人口削減のためにこれから起こる戦争、疫病を予告しているのではないか」という陰謀論があるという。

 山口氏は「露骨に悪魔崇拝を打ち出す演出ではないか」と述べ、「オープニングの青い馬が駆け抜ける演出がありますが、青い馬は『ヨハネの黙示録』において、世界の4分の1を支配し、厄災をもたらす、とされています。ドラァグクイーンで演じられた『最後の晩餐』のシーンは、キリストを裏切った13番目の弟子ユダの席にアジア系の子どもが座っていて、何かの暗示かもしれません」などと分析した。

 パリ五輪が「悪魔崇拝の儀式」なのかについて確証はないが、多様性を尊重するのは良いとしても、死を嘲笑し、血を連想させるような演出は果たして五輪という「平和の祭典」において相応しいのか。平穏無事に終わることを願う。

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