間違えると怖い熱中症対策 「経口補水液」摂り過ぎには危険 “最大の予防”は塩分、水分の摂取ではない 医師語る

谷光 利昭 谷光 利昭
画像はイメージです(T-KONI/stock.adobe.com)
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 今年も暑い日が続きますね。屋内にいても、熱中症で亡くなられる高齢の方が時々います。話を聞いていると、高齢の方は節約概念が強く、できるだけエアコンを使わずに過ごす傾向が多いように思います。熱中症の予防対策として、日中は外出をできるだけ控える、屋内にいてもしっかりエアコンを使い室温を適温に保つことが大切です。

 昨今、熱中症の予防対策として認識されている「経口補水液」の摂りすぎが、高齢者の間で問題になっています。誤解されやすいのですが、熱中症の予防は、塩分や水分の摂取ではないのです。上記のようにできる限り、身体に過度な負荷をかけないこと、それが最も大切です。屋外など過酷な状況で仕事をされている方の場合だと、話は変わりますが、ほとんど屋内にいる高齢の方の場合であれば、この対策が有効です。

 高齢の患者さんの中には、「冷蔵庫の中には、経口補水液を常備しています。必ず、朝、晩で飲んでいるから熱中症対策は万全です」と、胸を張って話をする人がいます。しかし、私は非常に危険なので、すぐに止めるようにお話をしました。

 経口補水液の中には、非常に高濃度のナトリウム、カリウム、クロールという電解質が含まれており、過剰摂取により体内の電解質のバランスが崩れます。それによって、様々な症状、たとえば気分不快、倦怠感などの症状が出現します。

 以前、経口補水液が一般的になる前は、スポーツドリンクを同じように毎日、大量に飲む老人がおられ、急に糖尿病になられる人がおられました。実際、少ない数ではないです。

 経口補水液とスポーツドリンクは塩分、糖分の濃度が全く違います。ともに、塩分、糖分が含まれているですが、経口補水液は塩分が非常に多く含まれており、スポーツドリンクは糖分が非常に多いのです。

 もちろん、一口に熱中症対策と言っても、年齢、職業、体力、生活習慣によって対応は違ってきます。大量に汗をかく健康な人や、感染性胃腸炎などで下痢を繰り返し、嘔気が強く経口摂取ができない人にとって、経口補水液は有用なケースはあります。ただ、飲み方によって“害になる”ケースが多いことも忘れてはいけません。

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