「喪服厳禁」の南部虎弾さん葬儀は異業種交流会、ゆるキャラも登場!参列した芸人が報告、MISIAの代役秘話も

なべやかん なべやかん
1月20日に急逝した電撃ネットワークの南部虎弾さん
1月20日に急逝した電撃ネットワークの南部虎弾さん

 1月20日に死去したパフォーマンス集団「電撃ネットワーク」のリーダー・南部虎弾さん(享年72)の葬儀・告別式が29日に「喪服厳禁」で行われ、各界からの参列者がそれぞれの個性を発揮した服装で故人をしのんだ。葬儀に参列したお笑い芸人でコラムニストのなべやかんが現場の様子をリポートし、親交のあった南部さんの「芸人魂」が伝わるエピソードをつづった。

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 電撃ネットワークの南部虎弾さんの葬儀が桐ヶ谷斎場でおこなわれた。葬儀のルールは「喪服禁止」。いかにも南部さんらしい取り決めだ。かつて有名スニーカーとコラボ企画もあったらしいのだが、そのスニーカーを自分勝手に装飾し、履いていたので契約がパーになった事もあったらしい。そんな感じだから人生の終わりも好き勝手にやりたかったのだろう。

 斎場に着くと色鮮やかな光景が広がっていた。トカゲ男がいたり、ゆるキャラの「ハ―トントン」(※広島・平和公園出身、鳩をモチーフとした平和の使者)がいたり、尻を出しているヤツもいて、お笑いライブの楽屋みたいだった。自分はこの日、「ゴーストバスターズ」のセーターを着て行った。本当は「死霊のはらわた」にしたかったのだが、Tシャツしか持ってないので断念。寒いしね。

 お焼香の列に並んでいると後ろのマダムたちが「最近、他の方も亡くなられたわよね?何パーでしたっけ?レイパー佐藤さんでしたね」と、レイパー佐藤さん(※ロボコップやゴジラなどのモノマネをし、スタートレック・マニアである自称・宇宙芸人)を勝手に殺していた。「エスパー伊藤さんね」と心の中で思いながら、「レイパーさんを知ってるんだ?」と、そっちの驚きが大きかった。

 祭壇にはカッコいい南部さんの写真が飾られていた。シュレーターペンギンのような髪型がビシッと決まった南部さん。時代を作った男って感じがした。

 焼香が終わり、会場を出ると、そのまんま東さん(※東国原英夫氏)に会った。東さんは年末に南部さんと食事に行ったようで、「虫の知らせだったのかな?会わないと…って思ったんだよ」と言っていた。

 斎場内は有名人やコスプレーヤーたちとインスタ用の写真を撮る人だらけで異業種交流会のようだ。自分もいろんな人に写真のお願いをされたりした。その後、自分は、ゆるキャラ・ハ―トントンに手相を見てもらったりしたので、葬儀会場とは思えない雰囲気。かつて異業種の集まり飲み会に行くと南部さんが必ず参加していた事を思い出し、「南部さん、これがやりたかったんだな?」と感じた。

 マスコミの皆さんが集まっていて自分もインタビューを受けたのだが、今まで葬儀で受けたインタビューとここも雰囲気が違った。重たい雰囲気は一切なく、むしろ呆れ返っている感じ。「南部さんてどんな人でしたか?」と聞かれたので「奇人変人ですよ」とこちらも個人を偲ぶようなコメントはしない。

 南部さんがMISIAさんと同じ事務所だった時、MISIAのハワイツアーの話を聞いた。船上ディナーショー予定だったのだが体調が悪くなり、急きょ、電撃ネットワークさんたちが出演したという話。「MISIAさんファンの集まりですよね?お客さんはどんな反応でしたか?」と聞くと、「みんなドン引きだったよ」と言うので、一応、ネタ内容を聞くと、「ミミズをハンマーで叩いて客席に飛ばしたりしたんだよね」と言っていたので、やっぱり奇人変人だ!

 「何でネタを選ばなかったのです?」「これが良いかなって思ったんだよ」。これが南部さんという男だ。ちなみに、この話をマスコミインタビューですると、みんな爆笑していたのでマスコミの皆さんも楽しんでいたようだ。

 コンプライアンスを気にする時代になったので、南部さんのような芸人は現れないだろうな?伝説の芸人がまた一人、この世を離れて行った。南部さんのろくでもない話を人に伝えていく事が我々の仕事でもある気がする。「あの人、ろくでもないな!」。皆がそう言ってくれる事が、我々芸人の最大の賛辞であり、供養になるのだから。

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