米国防総省にある部署のウェブサイトに「日本は未確認空中現象(UAP)のホットスポット」という報告が掲載されたと報じられた。UAPとは未確認飛行物体(UFO)なども含めた総称であり、その報告が事実なら、日本はUFOの目撃例が多いということになるわけだが、国内で大ニュースになっているような状況はない。実際のところはどうなのか。ジャーナリストの深月ユリア氏が識者に話を聞いた。
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今年10月、米国防総省のUFOに関する調査機関である「全領域異常解決オフィス」(AARO)がUFOに関する年次報告書を発表した。AAROは2022年7月に開設された機関であり、この度の年次報告書は2年連続2回目となる。
AAROは今年8月31日に公式サイトを開設し、サイト上にUFOに関する報告書や世界地図上、頻繁に出没する地域について一般人が誰でも見られるように情報提供している。公式サイトの地図によると、米国、中東、そして日本でUFOの目撃例が多いようだ。
そして、同報告書によると、昨年8月から今年4月までの間に合計291件のUAPの報告がある。ただし、UFOファンの期待に反して、「地球外生命体の乗り物」としてのUFOは確認されず、「ほとんどが、地球外生命体の乗り物説以外の説で、科学的に解説可能なもの」と結論づけた。ただし、一部は「未知の形態や超高速運動をしているもの」があるらしく、本当に未知の物体である可能性も捨てきれていない。
UFOに詳しい作家、山口敏太郎氏は「地球外生命体は存在するが、米国防省は情報を小出しにするつもりではないだろうか」と推測している。
同氏は「報告書を見ると、AAROの実務担当者はまじめにUFOついて研究・分析していると思われます。しかし、幹部はUFOに関する情報を小出しにするつもりなのではないでしょうか。実際、世界各地で地球外生命体らしき目撃例があります」と説明する。
だとすれば、米国防省が地球外生命体に関する情報を隠蔽する動機はあるのか。
山口氏は「『世界最強の国、アメリカ』のイメージと国際政治上のパワーバランスを保つためです。実際、『地球外生命体の方が米国より科学技術も発展して、米国の軍事力をもってしても地球外生命体には敵わない』という事実が知れ渡れば、米国にとって不都合であり、国際政治上のパワーバランスが崩れるでしょう。庶民を統制するにはなるべく情報を与えない方がいいのです」と見解を述べた。
確かに、そのような事実があれば、各国が競って、「米国よりも、いかに地球外生命体を味方につけるか」ということが政策の最優先課題になるかもしれない。
山口氏は「『月か火星に水が存在する』ことも、最初はオカルトとして疑われていましたが、最新の研究では『水が存在する』ことが通説になりました。このように、地球外生命体の情報も長年、おそらく今後30年くらいかけて小出ししていくつもりなのではないでしょうか」と推測した。
かつて、人々は「天動説」を信じていたが、「地動説」に「常識」が覆された。果たして、いつか地球外生命体に関する証拠が発見され、再び、我々が信じる「常識」が覆る日は訪れるのだろうか。