米政府はUFOを隠蔽?共和党の下院議員が主張 日本の識者「UFO調査は軍事目的か」

深月 ユリア 深月 ユリア
画像はイメージです(Natalia/stock.adobe.com)
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 米政府がUFO(未確認飛行物体)の存在を否定せず、研究を進めていると報じられている。かつては不確かな存在として捉えられてきたUFOがある意味、大国の“お墨付き”を得た格好になっているが、実際には、その背景に何らかの国家的な思惑があるのではないかという指摘もある。ジャーナリストの深月ユリア氏が、米政府の取り組みに批判的な下院議員のツイートを引用した上で、日本の専門家にも見解を聞いた。

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 米政府は昨年、米航空宇宙局(NASA)でUFOについての調査チームを結成して、UAP(未解決飛行現象)についての公聴会を開催し、2021年には米国防省(ペンタゴン)がUAPについて調査する「異常現象監視・解決局」を新設するなど、UFO、UAPについての研究を進めている。

 しかし、共和党ティム・バーチェット下院議員はUFOが「地球外生命体の乗り物である」であるとし、「米政府はUFOの存在を隠蔽している」と主張する。同氏の今年1月21日付ツイッター投稿によると、 「(米政府に)『明日、太陽が昇る』と言われても私は信用できません。ワシントン(の政府)はかねてより傲慢です」「アメリカ国民は政府のUAP(UFOについてのレポート)を知る資格があり、国民はそれらの情報を取り扱うことができます」

  同氏はかねて、米国内の複数のメディアやツイッターで「米政府は1940年代からUFOの存在を隠蔽してきた」「米政府はUFOを回収し、その技術を研究している」とUFOの存在を肯定し、「私はクリスチャンだがUFOは聖書にも描写されている」として、聖書の一説について自己流の解釈をした。

 さらに、米ケーブルテレビチャンネル「ニュースネイション」でUFO公聴会について「米政府は本当にUFOを見たパイロットに証言させず、なにも知らないような米国防省の人に発言させたのです」と「米政府の陰謀」説を主張した。

 米政府はUFOに関しての情報を本当に隠蔽しているのだろうか。筆者がUFO研究家・作家の益子祐司氏にインタビューしたところ、 同氏も米政府のUFO公聴会には懐疑的な見解を示した。

 「国防総省がUAPだと認めた映像は海軍の垂直離着陸機に見え、本来なら他国の軍機を疑うべき軍パイロットが笑って撮っているのは、正体が分かっているか、音声が合成である可能性が疑われます。私は世界各国のUFO/UAP映像を検証しましたが、その大部分は誤認であり、その点では政府の公式見解は納得いくもので、むしろ自称UFOコンタクティたちの示す映像は偽造が多く、事実の隠蔽が見られました」(益子氏)

 益子氏は、たとえUFOの正体が地球外生命体の乗り物だとしても「彼ら」は無警戒に人類の前に姿を現さないと考えている。

 「海上を飛ぶUFOがその上空の軍機に撮影される隙を見せるほど無警戒とは思えません。私は過去十数年、人のいない深夜の森などでUFO/UAP撮影してきましたが、至近距離での目撃は、撮影できないタイミングでのみ出現し、(私見ですが)こちらの心が読まれている(操られている)としか思えませんでした」(益子氏)

 また、作家でUFOに詳しい山口敏太郎氏も、米政府がUFO調査している背景に「裏の目的」が存在する可能性を指摘している。

 「今回、米政府の調査はUFOではなく、UAPという名目で行っていて、UFOを認めたくない『最後の意地』のようなものを感じます。報告書はUAPが『中国やロシアなどによる飛翔体』であった可能性もあると示していますが、『宇宙軍(19年にトランプ政権が新たに創設した軍隊)』に対する予算確保の目的があるようにも思います。映像は飛行速度がゆっくり過ぎて、明らかにUFOに見えないものも含まれていて、そんなものをUAPとして取り上げることに違和感があります。ダミー映像も含まれている可能性もあると思います。『裏』がありそうなので、『米政府はUFOを調査しだした』という風に一概に喜べないと思います」(山口氏)

 米国のUFO調査には軍事的な目的があるのか。今年1月12日、アメリカ国防総省はUAPの調査に関する2022年分の年次報告書を提出した。国家情報長官室によると、同室が収集したUFO関連報告の総数は510件に達していて、『原因不明のUFO目撃情報が350件以上報告されている』という。今後の新たな情報が注目される。

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