国際政治学者の三浦瑠麗氏が10日、X(旧ツイッター)を更新。この日、埼玉県議会の自民党県議団が、9月議会に提出していた「子どもだけでの留守番」などを「放置による虐待」と定める「虐待禁止条例」の改正案を取り下げると発表したことを受け、子育てをする女性の立場から見解をつづった。
SNSでは「虐待禁止条例改正案反対」のハッシュタグなどで異議を唱える声が相次ぎ、反対の署名活動にまで発展。推進派が世論の猛反発にあって改正案を撤回する格好となったことを受け、三浦氏は「Xにおける批判って、キャンセルカルチャーの棒を振り回すんじゃなくてほんとに役にたつときもあるんですね」とSNSが現実を動かす影響力について指摘した。
その上で、三浦氏は「しかし、日本の現状を思うと、とても奇妙な案だった。できるだけ多子家庭を減らしたいという目的だったなら別ですが」と指摘し、「女性は色々な皺寄せや非常事態の『最後の砦』になりがちです。埼玉の議員さんにはまずコロナ禍の休校休園で女性のストレスがどれだけ増えたかを検証して頂きたいと思います」と提言した。
改正案は、保護者らが小学3年生以下を自宅などに「放置」することを禁じ、小学4-6年生の児童に関しては放置しないことを努力義務と規定。県議団は車や通園バスに放置された子どもが熱中症で死亡した事故を例に挙げて「放置は危険という意識改革の必要」を提案理由としていた。県議団の説明などによると、子どもだけの留守番、公園での遊びや集団の登下校も「放置」に当たるとされていた。「放置」を見つけた場合の通報も義務化する内容だったため、他会派は「追い詰められる親が増える」と指摘。子育て世代からは「負担が大きくなる」と批判が殺到していた。