「ゲームの世界みたいだ」“都心の廃墟”とそびえ立つ高層ビル 解体が決定 もう見られなくなる景色が話題

藤丸 紘生 藤丸 紘生
昭和初期に建てられた小学校跡と、その奥にそびえ立つ先進的な高層ビル 一人旅研究会さんのX(@keionoteio)より
昭和初期に建てられた小学校跡と、その奥にそびえ立つ先進的な高層ビル 一人旅研究会さんのX(@keionoteio)より

 昭和初期に建てられた小学校跡、その奥にそびえ立つのは先進的な高層ビル。日本全国の秘境などを巡り、SNSなどで公開している一人旅研究会(@keionoteio)さんが、X(旧Twitter)に投稿した写真が話題を呼んでいる。

 「先進的なビルと、昭和3年に建てられた小学校跡。このギャップに萌える」と一人旅研究会さんがつづった1枚の写真。旧校舎と最新鋭のビル。合成かと疑うほど時代の異なる建造物が共存する景色は時代の移り変わりを感じさせる。

 校舎の正体は、東京都台東区にある旧下谷小学校。1875年(明治8年)に創立し、関東大震災を経た1928年(昭和3年)、耐震性や耐火性が高い鉄筋コンクリート造りに再建された。1990年の閉校後、跡地利用が検討されながら方向性が定まらない期間が続き、いつしか「都心の廃虚」として話題に。昨年、ついに解体が決定した。

 作業が目前に迫った7月21~23日に台東区は「旧下谷小学校見学会」を開催。時代の変遷を見守り続けた校舎とのお別れの時間を設けた。一人旅研究会さんはSNSで見学会の存在を知り「案内を見た瞬間、当日の予定を確認し、朝イチであれば行ける!ということで早速予定を押さえました」と来訪。「昭和最初期のモダンなデザインに、関東大震災以上の地震に耐えられるような重厚な校舎の造り、そして長年の経過によって刻まれた、どことなく漂う“くたびれ感”がたまりませんでした」と万感の思いを表現した。

 役目を終えた旧校舎は人知れず解体され、姿を消していくことも多い。そのため、今回の見学会には「一般の人も入れるように設けていただけたのはとてもありがたいです。気になっていた建物をまじまじと観察できて楽しかったです」と感謝した。

 投稿には「ゲームの世界みたいだ…」「土地ごと異世界に飛ばされた感じがして好き」「築95年と築数年、人間なら曽祖母とひ孫のようで、素敵ですね」などの反響が寄せられた。両極端の建造物が織りなす不思議な魅力。一人旅研究会さんは校舎を労るように思いを寄せた。

 「東京のように、絶えず最先端を行く街には、最新技術を用いた先進的なビルが林立する一方で、古くから街が形成されているために、戦前の建物も、ちらほら残っています。古い建物は、東京が今とは全く違った様相、一時は戦争で焼け野原になったような状態も見てきているはずです。見てきた時代がまるで違う建物がぽんぽんと並んでいる様に時の移ろいを感じ、激動の時代を見続けてきた建物が、どんどんと新しいビルに背を越され、己は疲労していく。それでもなお健気に、そこに在り続ける姿に心を奪われてしまいます」

 一人旅研究会さんはHP(https://hitoritabikenkyu.com/)でも日本全国の秘境や退廃的空間、ノスタルジックな場所を紹介している。

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