講談社が刊行する科学系新書の老舗・ブルーバックスは今年、創刊60周年。夏休みの宿題などでお世話になったという人も多いのでは、ないだろうか。ブルーバックスといえば、創刊当初から変わらないロゴマーク。宇宙人のような、アンテナのような…。みなさんはこれが「何者」なのか、ちゃんと知ってますか?
7月18日、講談社ブルーバックス公式X(当時Twitter)の「ブルーバックスの背についている青いロゴ、ブルーバックスのマスコット・火星人なのですが、読者の皆さまに全然知られていなくて衝撃を受けてます」という投稿が反響を呼んだ。ロゴの正体は「火星人」なのだが、それが世間はもちろん、長年の愛読者にもほぼ知られていなかったというのだ。
ことの発端は、60周年を記念して企画したオリジナルグッズ・火星人フィギュア。同公式Xの担当者によれば「(ロゴの)火星人をフィギュアにしたら話題になるのでは!」と編集部で盛り上がり、自信満々でグッズ化したという。
しかし、情報を公開しても反響はいまひとつ。不思議に思い、SNSを見てみると「これ、火星人なんだ」「え~火星人だったとは」「青いロゴがあるなーとは思ってたけど、ちゃんと見てなかった」「見えていなかったよ、ごめん。青い印としか」「書店員ですが、気づきませんでした」と読者との“ズレ”が発覚。なかには「こんなのいたっけ?」。悲しいことに“それ以前”の反応も見られた。
創刊当時から「火星人」として本にプリントされ、これまでデザインの変更は一切していない。60年間変わらぬ姿だったのだが、ここに来て“知名度ほぼゼロ”が判明。これまで何度かSNSで火星人のことを紹介していたこともあり、同担当者は「読者の常識だと思っていたのですが、思い違いだったようです。全然認識されていませんでした。悲しいです」と胸の内を明かした。
SNSでは「てっきりパラボラアンテナだと」「電気回路だと」「イヌの鼻アップだと信じてた」「漢字の『兄』に目がついているのかなと」など勘違いのオンパレード。もはや笑うしかない状況に「(編集部の)みんなでツッコミながら楽しく拝見しました」と明かした。
思わぬ形で注目を集めることになった火星人。それに乗じて、編集部内では「火星人の名前をつけよう!」という案も出ているといい、同担当者は「そのうち皆さまにお知らせする機会があるかもしれません」とした。
ちなみに、火星人をロゴに採用した経緯については、2012年11月に公式Facebookにて「今となってはほとんど言い伝えですが、創刊当時、科学の探究によって存否が確かめられるはずの対象として、地球外生命への興味が高まっていました。そこで、その象徴として、いにしえから議論のつきない火星人に着目し、これをロゴマーク化したというわけです」と言及されている。
改めて、本の背表紙に目をやる。火星人が覚えてほしそうにこっちを見ている。同担当者は「これを機にブルーバックスの火星人、よろしくお願いいたします」と読者にアピールした。