英国レスリング界のレジェンド、エイドリアン・ストリートさんが死去した。82歳だった。「スパンコールを着たサディスト」のニックネームで知られたエイドリアンが先月24日に、英ウェールズにあるグランジ大学病院で帰らぬ人となったことを遺族が伝えている。
妻のリンダさんが、BBCウェールズに語ったところによると、エイドリアンは先月の脳卒中で脳内出血した後、自宅療養中に発症した大腸炎から敗血症を起こし、それが原因で死去したという。「全てが、あっという間の出来事でした。私はまだそれを受け止められていません」「私が知る中で(彼は)最も親切で、最も素晴らしく、愛に溢れた人でした。ステージ上の彼とは完全に逆だったのです」とリンダさんは語っており、エイドリアンの遺灰をウェールズ南部にある自宅近くの山々にまく予定にしているという。リンダさん自身も1960年代には、プロレスラーとして活躍していた。
10代半ばに家出をしてロンドンに出てきたエイドリアンは、レスリングのプロモーターと出会い「キッド・ターザン・ジョナサン」というリング名でデビューを果たした。その後、リング名を本名に戻して、華やかな衣装を身にまとい、顔に派手な化粧をした金髪のおさげ髪の悪役レスラーとして活躍、エイドリアンは、野次に応えてリングをスキップしたり、対戦相手にキスをして口紅を付けたりと、さらにバカなふるまいをすることでも知られていた。
80年代に北米に渡ったエイドリアンは、最終的に1969年に出会い、自身のマネージャーを務めていたリンダさんと共にフロリダに定住し、リング・コスチューム制作会社ザ・ビザー・バザールや、レスリング学校スカル・クラッシャーズ・アカデミーを創立した。
後年、夫妻はウェールズに戻り、2019年に自身のドキュメンタリー映画『ユー・メイ・ビー・プリティ、バット・アイ・アム・ビューティフル』が公開された。またエイドリアンは、アルバム1枚をレコーディングしたほか、回顧録を数冊出版している。