新型コロナ対策の行動制限が解除され、インバウンド需要が回復しつつある中、都内の「相撲レストラン」が外国人観光客らでにぎわっている。店内には本物の土俵があり、とんかつ料理を味わいながら、リアルな「相撲ショー」が楽しめる。
大相撲元力士「琴鳳」で最高位は幕下だった青木圭史さん(40)は、20年間の土俵生活を経て2019年に引退。現在は、この店の土俵で日々奮闘している。「相撲を知ってもらいたいというのはありましたね。こういうのはイメージしていなかったですけれども。海外の人にも日本の人にも相撲をよく思ってもらいたいなと思って」と話す。
多くの来店客は、初めて見る土俵に興奮しながら、迫力ある”一番”に目を輝かせる。ある男性客は「素晴らしい体験だった。料理もおいしかった。力士たちはとても強く、ユーモアのセンスもある」と話した。
元十両の「魁道」で、オーナーの田中康弘さん(47)は、日本がビザなし渡航を再開した昨年、この店をオープン。多くの力士が30代で引退した後、仕事の機会に恵まれないケースがあり、元力士たちに活躍の場を提供したいと考えたという。
「私たちは現役の時に経験したつらい思い出とか、伝統文化とかそういうことをしっかりお客さんに伝えようと普段は努力しています。でも、(現役の)お相撲さんの時は全然遊んだりできなかったので、みんなお給料をもらって楽しいハッピーな生活を送ってほしいなと思います」と話した。
とんかつ料理と相撲ショーのセットで料金は1万1000円から。来店客が着ぐるみを着て土俵に上がるコーナーを設けるなど、サービス向上にも余念がない。