ドナルド・トランプ氏(76)が、コラムニストのE・ジーン・キャロル氏に対する性的暴行が認定されたものの、レイプについての責任は免れ、500万ドル(約6億7600万円)の賠償金を支払うよう命じられた。元米大統領のトランプ氏は、キャロルさんへの性的暴行、またキャロルさんの告発をでっち上げたと発言し名誉毀損で訴えられていた件で、9日にニューヨークの連邦裁判所で評決が読み上げられた。
男性6名、女性3名からなる陪審員は、2週間にわたり、3人の告発者とキャロルさんの友人2人から生々しい証言を聴聞した後、7時間に及ぶ審議の結果、トランプ氏の性的暴行を認めた。またトランプ氏による昨年10月のソーシャルメディアへの投稿で、キャロルさんの申し立てを「詐欺師」と呼び、キャロルさんを中傷したと認定した。
キャロルさんは、トランプ氏から性的暴行や嫌がらせを受けて訴えていた10人以上いる女性たちの1人で、1990年代半ばにマンハッタンの高級デパートの試着室でトランプ氏にレイプされたと主張。2019年に回顧録で初めて告発していた。トランプ氏が大統領になった2019年まで20年間沈黙を守っていた一方、昨年ニューヨークで成立した成人被害者法(通常時効にかからない性的暴行の請求に1年間の猶予を与えるもの)に基づき、性的暴行で訴えた。
裁判には出廷していなかったトランプ氏はキャロルさんへの性的暴行を否定。トランプ氏の弁護士は、告発はキャロルさんの2019年の自伝の売り上げを伸ばすために捏造されたものだと抗議した。
評決に先立ち、「自分を守る」ことを許されなかったとトゥルース・ソーシャルに主張していたトランプ氏は、証言することを許可されたものの、期限までに弁護士による申請が行われず、今回の評決を受け「この女性が誰なのか、まったく知らない。この判決は不名誉だ。史上最大の魔女狩りが続いている!」「非常に不公平な裁判だ!」と猛烈に非難していた。