ウクライナで目撃された白い光の「正体」はUFO?新兵器?臆測飛び交う中、識者は「いん石」と明言

深月 ユリア 深月 ユリア

 ロシアの侵攻が続くウクライナで「白い光」が首都上空で目撃されたという報道があり、ネットでは「UFO(未確認飛行物体)か?新兵器か?」といった臆測が飛び交っている。そこで、ジャーナリストの深月ユリア氏がウクライナ出身の国際政治学者であるアンドリー・グレンコ氏に見解を聞き、併せて今後の戦況も探った。

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 4月19日夜、ウクライナの首都キーウ上空で「白い閃光(せんこう)」が目撃され、ウクライナの宇宙当局は「いん石の落下が原因」と推測している…とBBCニュースなどが報じた。そうした報道に対し、インターネット上では「新兵器ではないか」「宇宙人が乗ったUFOではないか」などという憶測が飛び交っている。

 激戦地のウクライナでいま何が起きているのか。ウクライナの国際政治学者で「ロシアのウクライナ侵略で問われる日本の覚悟」などの著者、アンドリー・グレンコ氏にインタビューした。

 -閃光の正体は?

 「ニュースを見ましたが、いん石でしょうね。似たような突拍子もないニュースとして『バフムート(※ウクライナの東部ドネツク州にある都市で激戦地)には『バフムート・トライアングル』があって、飛行機が失踪する』といった話がありました。そのように、戦争中はさまざまな陰謀論が飛び交いますが、現地はそれどころではありません」

 -では、新兵器なのか。

 「新兵器だとしたら、残骸があるはずですし、今の世の中、衛星探知で分かります」

 -14日、ロシアの民間軍事会社ワグネル創設者のエフゲニー・プリゴジン氏が「軍事作戦の終了を宣言すべきだ」という声明を発表したが、プーチンは停戦に動いていないので、内部分裂しているのか?

 「プリゴジンはプーチンよりは戦場の現場を分かっていて現実主義ですが、プーチンは『ロシア帝国を築く』という自分の理想の世界に生きています。ただし、ロシアはプーチンの独裁国家です。本当は意見対立をしているのではなく、ワグネルに『穏健派』の役を演じさせることで、プーチンは『それでも辞めない、本気だ』とアピールしているように私には思えます。プーチンは手下たちに『穏健派』『過激派』などさまざまな役割を担わせ、その『役者』たちによって世論操作をしているのです」

 -本気なら核兵器を使う可能性がある?

 「核兵器は当分、使わないでしょう。ただし、ロシアが壊滅的な敗北をする際に使用する可能性は否定できません。それを防ぐには 、西側諸国が『核兵器を使ったらモスクワに核兵器を撃つ』という断固とした態度を取ることです」

 -今後の戦況について「春に雪が溶けたら両軍の攻勢が激化する」と指摘されてきたが?

 「今年の春は寒く、5月に地盤が溶けると予測されています。どのタイミングでウクライナが攻勢をかけるかは、ロシアに分からないようにしないとならないので発表はしないでしょう。おそらく5月末から夏でしょうが…。ウクライナの攻勢が成功するかはどれだけ兵力が集まるか、どれだけ西側諸国が武器支援するか次第です」

 -日本がウクライナ支援のためにできることは?

 「日本は軍事費増強に伴い武器を新しく購入しますから、いらなくなった武器をぜひウクライナに支援いただきたいです。また、5月19日-21日にG7(日本、米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ)広島サミットが開催されますが、『ロシアに対して食料品・医療品以外の輸出禁止しよう』という動きがあるようです。これが実現すれば、ロシア経済に大打撃となります。かねて、問題視されていた日本のロシアに対する中古車転売もなくなります。中古車業者の中にはロシアマフィアがいて、中古車がロシアに転売されると武器の部品などに使われますから。ぜひ、この政策を日本から提案して欲しいです。米国は既にロシアに対して強固な態度を取っていますから、日本から提案する方が効果的です」 

 日本ではウクライナに関する報道も減っているようにみえるが、現地の状況は決して「他山の石」ではない。

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