本物の恐竜は、映画『ジュラシック・パーク』とはかけ離れたものだったという。1993年公開のスティーブン・スピルバーグ監督作で人気となったティラノサウルスのイメージだが、研究者らによると、先史時代を生きた恐竜はスクリーン上の獰猛な姿とは異なるそうだ。
英ポーツマス大学のマーク・ウィットン博士はこう説明する。「『ジュラシック・パーク』や『ウォーキングwithダイナソー~驚異の恐竜王国』など映画やドキュメンタリーを通して、大衆文化に根差した唇を持たない恐竜がいます。科学的思考よりも怖ろしい見た目が好まれるのです。私たちが好きな恐竜の描写は間違いです。アイコニックな『ジュラシック・パーク』のTレックス然りです」
そして本物のティラノサウルス、スピノサウルス、アロサウスなど3つ指の恐竜たちは、現在のトカゲのような見た目だったと研究者らは考えているそうで、頭部に関してはワニのそれとの比較研究が進んでいるという。
カナダのマニトバ大学のカースティン・ブリンク教授はこう話す。「くちびるに覆われていない歯は乾燥のリスクがあり、餌を食べたり闘う際に損傷を受けやすい可能性があります。ワニにその特徴がありますが、恐竜にはありません」
さらに米アラバマ州のオーバーン大学のトマス・カレン博士はこう続けた。「データは、全ての獣脚類恐竜には口を閉じた際に、唇の鱗で歯が完全に隠れていたことを示唆しています」