「鬼滅の刃」で変わった鬼のイメージ 節分で「福は内、鬼も内」!鬼の由来は「疫病神を退治する人」

深月 ユリア 深月 ユリア
節分で「鬼」に扮した大人に豆を投げる子どもたち。冬の年中行事になっている
節分で「鬼」に扮した大人に豆を投げる子どもたち。冬の年中行事になっている

 節分(2月3日)が近づいてきた。近年は、大ヒットした漫画・アニメ「鬼滅の刃」の影響で「鬼」のイメージも変わったという。ジャーナリストの深月ユリア氏が専門家に話を聞いた。

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 節分といえば「鬼は外、福は内」の厄払いの風習が有名だ。都市伝説・民族伝承に詳しい作家の山口敏太郎氏によると、 豆をまきながら「鬼を払う」という風習は、「古代中国にあった追儺(ついな)という年越しに行う儀式が日本に伝来したもの」で、「旧暦の1月に該当する2月に節分をすると言う意味でも、旧年の魔物お祓い、新年を祝うと言う意味合いもある」そうだ。

 節分で豆をまく理由として山口氏によると「節分に使われる豆は、魔力を封じる豆、魔物を封じる豆、そこから『魔滅(まめ)』という意味合いがあります。豆自体が何もないところから『芽吹く』という意味合いもあります」

 なお、「豆まき」には「縁起を良くする」ために、「使うのは煎(い)り豆のみ。生の豆をまいたら芽が出る可能性があるので縁起が悪い」 「鬼は夜に訪れるので、昼間に豆まきしても鬼退治はできない」 というジンクスもあるという。あくまで、都市伝説に過ぎないが…。

 同氏によると、 追儺の行事で払うのは病をもたらす「疫病神」のような存在だったそうだ。しかし、現在の日本におけるような目に見える形での「鬼」の概念はなかったが、皮肉にも疫病神を払う側である方相氏(悪鬼・悪霊を祓う魔除けの力を持つ陰陽師のような存在)が日本で「鬼」になってしまったそうだ。

 「方相氏は4つの目を持つ四角い仮面を被り、右手に杖、左手に大きな楯を持ち、熊の革をかぶるという恐ろしい格好で登場します。子供の従者を引き連れて儀式を行い、最後には門の外に疫鬼や悪鬼を追い出すとされていました。日本では鬼を恐ろしい格好で追い立てる方相氏自体を『鬼』と認識するようになっていきました」(山口氏)

 「鬼」と認識されてしまった方相氏たちがかわいそうに思えるが、 超常現象研究家で都市伝説・民族伝承に詳しい鈴田之神助氏によると「一部の地域ではでは『鬼も人も仲良くするのが福』と考え、『福は内、鬼も内』という掛け声をします。漫画・アニメの『鬼滅の刃』の世界的な大流行で『鬼』のイメージが変わりましたが、そもそも、『鬼』の立場に立てば、人間が鬼かもしれません」 。群馬県藤岡市鬼石、栃木県の鬼怒温泉など「鬼」とつく地域では、鬼は「観光資源」でもあり、鬼に友好的な考え方もあるようだ。

 「鬼滅の刃」のほかにも、大人気漫画「うる星やつら」が再放送され、またサンリオピューロランドでもかわいらしい「鬼」たちが登場する「ハローキティ座の桃太郎」というミュージカルショーが大人気だ。「かわいらしい」のイメージも広く流布しているが、「福は内、鬼も内」という「友好的」な掛け声で豆まきをするのも楽しいかもしれない。

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