元ムエタイ王者の女性ボディーガードに聞く「トイレまで帯同して警護」女性客の依頼もあり、需要は増

深月 ユリア 深月 ユリア
画像はイメージです(New Africa/stock.adobe.com)
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 近年、日本でも政治家や実業家が銃撃される事件が起きるなど、危険を伴う社会になってきた。身辺を警護する職業である「ボディーガード」の需要も高まっているという。そういった要人だけでなく、個人からの依頼も増える中、ジャーナリストの深月ユリア氏が女性ボディーガードに話を聞いた。

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 不景気と共に殺傷事件など物騒な犯罪が頻繁に報じられるようになった昨今だが、ボディーガードの需要が増えているようだ。ボディーガードというと何となく屈強な男性をイメージされるかもしれないが、中には数は少ないが女性のボディーガードもいる。筆者はムエタイ(タイ式ボクシングでタイの国技)世界2冠チャンピオンで警備会社アイアンガード株式会社所属のボディーガード、格闘技インストラクターの彩丘(さいおか)亜紗子氏にインタビューした。

 -女性ボディーガードになるにはどうすればよいですか。

 「警備会社での研修が必要になります。ボディーガードは警備会社の一つの役割(特殊警備)になるので、その中でもいざという対応できる方、武道を極めた方になりますね」

 -女性ボディーガードならではの苦労、特有の案件は。

 「やはりボディーガードというと屈強な男性のイメージが強いので、案件もまだ少ないですね。ただ、女性のクライアント様で誰かに狙われていてトイレまで付いて来て欲しいという方は女性のボディーガードに依頼されますね」

 -依頼者に特徴はあるか。

 「実際に誰にも狙われている訳じゃないのに、『狙われている』と思い込んでいる方からの依頼がありますね。私が最初にボディーガードをさせていただいたのは、裕福な女性(当時50代後半くらい)『財産が狙われている』という懐疑心が強く、『極力外に出たくない』、『街で人とすれ違いたくない』という方でした。 お出かけされたい日にご依頼されて、行きたい場所のリストをいただき、御自宅までお迎えにうかがい、帰りは御自宅にお送り致しました。あとは芸能人の方でイベント中にボディーガードを雇うという方もいらっしゃいますね」

 -2児の母親だが、プライベートは。

 「平凡な主婦ですよ(笑)。料理が好きで娘にいろいろなレシピを教えていたら、娘がだいぶ上達してクリスマスにシャインマスカットのケーキを作ってくれました。最近、『豚カフェ』にはまっていて、子どもたちを連れて行きました。豚が膝の上に乗ってきて、とてもかわいかったです。あと、趣味で絵を描いてますね。以前、SNK(日本のコンピューターゲームメーカー)系列で格闘技ゲームの制作の仕事をしていたことがあり、絵が描けるんです。格闘家の絵を描いて欲しい、など受注いただくこともあります」

 -女性ボディーガードとしてメッセージを。

 「SNSでプライベートが流出しやすくなりました。日本の治安も昔に比べて、物騒な事件も増えていて、残念ながら今まで通り『安心して出歩けない』時代になりつつあります。実際、中には杞憂(きゆう)に終わるケースもあり、『狙われやすい方』は何らかの特徴があります。しかし、(ストーカー等が味をしめて)問題が大きくなったら大変なので、お気軽にアイアンガードにご相談いただけましたら幸いです」

 ムエタイ世界2冠チャンピオンのプライベートな姿は、かわいい動物が大好きな家庭的で、多彩な趣味を持つ主婦のようだ。そのような姿も女性クライアントから共感を得られるのかもしれない。不安な時代にこそ、女性ボディーガードの需要は増していくだろう。

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