NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は、第48回「報いの時」で、主人公・北条義時の「毒殺」という形で幕を下ろしました。「鎌倉殿」は、NHKプラスでは最終回までの平均視聴数が歴代大河ドラマで最多、NHKオンデマンドでも各回の平均視聴数がすべてのドラマの中で最多を記録したと言われています。根強い人気を誇ったと言えましょう。そんな「鎌倉殿」全48話の中から、選りすぐりの名シーンを3つ、独断と偏見で選んでみました。
まず、1つ目は、第41回「義盛、お前に罪はない」で、有力御家人・和田義盛(横田栄司)が「和田合戦」(1213年)にて、全身に弓を射られて倒れるシーン。直後、義時が1人背を向け、戦場を後にする、その時に溢れた義時の一瞬の涙。「和田を滅ぼす」と意気込みながら、内心は、長年の親友だった義盛を死なせたくなかった。そんな義時の苦衷が垣間見えた場面に「権力者の孤独」が見えて、私はグッときましたね。しかし、現実には、義時は義盛の親友ではありませんし、挑発して義盛を挙兵に追い込んでいますので、義時は和田討滅を喜んだでしょうが。
続いて、2つ目は第36回「武士の鑑」から。坂東武者の鑑と言われた清廉な武将・畠山重忠が北条氏の陰謀により、挙兵に追い込まれる、そして重忠が敗死する回でした。重忠がどのように討死していくのか、注目していたのですが、そこで何と、義時(小栗旬)と重忠(中川大志)の激しいタイマンが描かれたのです。今まで大河を長年見てきましたが、武将同士がここまで殴り合うシーンというのは記憶にありません。そういう意味で、意外でしたし、これまたユニークな描写でした。もちろん、現実には義時と重忠は殴り合いをしてはいません。
最後、3つ目は第15回「足固めの儀式」。佐藤浩市さん演じる房総半島の大豪族・上総広常が、源頼朝の命令により、粛清・惨殺された回です。武骨ものながらも、チャーミングさを兼ね備えていた広常が陰謀に巻き込まれ、梶原景時らにより殺されていくシーンは圧巻でした。殺される時の、目まぐるしく変わる広常の顔(笑み、哀願、恐怖、怒り)は今でも脳裏に焼き付いています。広常は実際には、梶原景時と双六に興じていて、その最中に首を掻き切られたとされます。あっという間の出来事だったでしょう。以上、私が考える名シーンを3つ選んでみました。
みなさんの「鎌倉殿の13人」名シーンは何でしょうか?