年末年始の休みは自宅でゆっくり映画鑑賞を楽しむ機会でもある。寒い夜に背筋も凍る怖い映画を堪能するのも一興。そこで、ジャーナリストの深月ユリア氏が世界的に大ヒットした傑作ホラー映画にまつわる「呪われた話」を海外の媒体から引用して紹介し、識者からも話を聞いた。
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「現実は小説より奇なり」。ハリウッド映画の中にはスタッフや出演者が不思議な現象・不幸な事件に巻き込まれて「呪われた映画」だという噂が広まったものが幾つかある。
「エクソシスト」(73年)悪魔の憑依(ひょうい)と悪魔祓(ばら)いをテーマにした映画。世界のトレンドニュースを発信するメディア「エル」によると、「映画のクランクインから公開されるまでに関係者9人が死亡した」という噂があるそうだ。撮影スタジオの夜間警備員のように、映画のプロジェクトには携わっていない人も含まれてはいるものの、映画監督役のジャック・マッゴーラン、神父の母親を演じたバシリキ・マリアロスが公開直前に死亡し、主役である悪魔つきの少女を演じたリンダ・ブレアと母親役エレン・バースティンは無理なスタントをさせられ背骨に長期的なダメージを受けた。
「オーメン」(76年)「悪魔の子供ダミアン」をテーマにしたホラー映画。「エル」によると、 クランクイン以前から恐ろしい事件が多発していたそうだ。主役のグレゴリー・ペックは出演を承諾して直後、息子が頭部を撃ち抜いて自殺。また、ペックが撮影地のロンドンに向かう飛行機に雷が落ち、エンジンが燃え上がる事故が発生したそうだ。クランクインすると、ペック演じる外交官を襲う役目のロットワイラー犬がスタントマンに噛み付いて大けがを負わせ、動物のトレーニングスタッフがヒヒに殺される事件も起きたそうだ。そして、公開後、特殊効果担当スタッフがオランダ旅行中に交通事故に巻き込まれ、アシスタントが死亡した。事故現場付近には、オンメンというオランダの都市への距離を示す「Ommen 66・6(オンメンまで66・6キロ)」という交通標識があったという。
「ポルターガイスト」 (1982年)スティーブン・スピルバーグが脚本を担当し約100億円の興行収入を記録した同作は購入した家に異常な現象が起こるホラー映画。映画関連のメディア「スクリーン オンライン」によると、公開後に長女役のドミニク・ダンが元恋人に絞殺され、続編(86年)公開後には悪役ケイン牧師役のジュリアン・ベックと祈祷師役のウィル・サンプソンが次々に他界、第3弾(88年)公開直前には悪霊から狙われる少女を演じたヘザー・オルークが12歳の若さで急死したという。
筆者がインターネットニュースサイト「トカナ」元編集長でライターの角由紀子氏に取材したところ、「怪談を話すと幽霊が寄ってくる、といわれている。近年、ホラー好きの若者の間で人気の怪談イベントでは突然電気が故障したり、話者が病気になるなど多くの霊障(※霊が乗り移ること)が報告されている。映画はイベント以上に大掛かりで関係者も多いため、より多くの霊障が起きやすいのではないか。また、宣伝効果を狙って『何か起きてほしい』と願うスタッフも少なくないため、寄ってきやすい可能性がある」という。
筆者が超常現象研究家・元俳優で多くのホラー映画や心霊番組に出演経験ある鈴田之神助氏にインタビューしたところ、「呪われた映画ですが、実際のところ本当に呪われたものなのかどうかは誰にも分からないものです。無理なスタントで亡くなる、という事も、邦画やドラマでも起こってます。運動会で期待されプレッシャーに負けてケガをしてしまう、という事にも似てますね。そして、交通事故が起こった場所等が映画のタイトル等と似ていたという事件もありますが、これも、その事に気を取られ事故を起こしたとも考えられます。前を走る車のナンバーが『4444』(日本で『4』は『死』を連想させ、不吉だという伝承がある)だと、『気をつけよう』と思う人もいれば、『何か起こるんじゃないか』と思う人もいますね。後者は特に負の精神的な気持ちに負けた時に事故を起こしてしまうんです。しかし、私も映画の撮影中に殺人鬼を演じた時、何かが憑依したように変な精神状態になったことありますね。本当の呪いが一部は存在するかもしれませんが、あまり思い詰めないことが巻き込まれないための1つだと考えます」
これらの現象・事件は、偶然なのか、現在の科学では解明できない「何か」があるのか。しかし、生きている人の方が強いので、「何か」を避けたい人は気にしない方がよいのかもしれない。