昭和の歴史・文化と、マンガ・アニメ文化を次世代に継承する拠点を目指して「トキワ荘通り 昭和レトロ館―豊島区昭和歴史文化記念館―」が3日、東京・豊島区のトキワ荘通りにオープンした。2020年に開館したトキワ荘マンガミュージアムからの距離は約300メートル。昭和カルチャーを発信する新たな施設が誕生した。
昭和20年代に建てられた「味楽百貨店」は1階に商業施設、2階にアパートが入っていたが、老朽化とともにアパート住居者は久しく不在で、昨年春には1階の店舗が閉められ、文化施設として改装された。
1階の奥に多目的室、2階に展示室が4部屋と多目的室が設けられた。2階の郷土史家・矢島勝昭氏による「昭和の暮らしギャラリー」と、かつての生活の様子が再現された「昭和のくらし~昭和40年代の日常~」は常設展示。オープンに際し、2階の企画展「昭和おもちゃコレクション」では積み木、万華鏡からドールハウス、ミニカー、野球盤などのおもちゃを展示。「おもちゃの鉄道DE池袋駅」では豊島区が誕生した1932年と現在の池袋駅をトイレールで再現した。
2階多目的室の特別展示展「タイムトリップ 豊島区の90年」では、昭和から平成にかけた歴史を風景写真等で紹介し、著名なジオラマ作家・山本高樹氏による人生横町と神田川のジオラマ2作品を公開する。
1階多目的室では企画展「これも学習マンガだ!展~私たちをとりまくセカイとミライ~」を開催。一般社団法人マンガナイトが制作し、学びにつながるエンタメ作品を陳列するとともに、第1期特集作品として「ゴルゴ13」が登場。複製原画を、当時の世界情勢とともに紹介する。オープニングセレモニーでは、さいとう・たかを劇画文化財団代表理事、マンガナイト代表理事の山内康裕氏が「11月3日はまんがの日であり、さいとう・たかを、手塚治虫の誕生日でもあります。とても感慨深い」とあいさつした。
開館からこれまで約9万人が来場したトキワ荘マンガミュージアムとともに、文化活性の役割を期待される昭和レトロ館。豊島区の高野之夫区長は「世界に発信するマンガ文化の拠点にレトロ館が加わって、さらにこの町を進化させていきたい」と語った。
各企画展は来年3月26日まで。入場無料。開館日時等の詳細は豊島区のホームページまで。