MBCの人気時代劇『宮廷女官チャングムの誓い(2003)』は、放送から約19年が経った今も、韓国ドラマファンの間で語り継がれる名作だ。
主演のイ・ヨンエとチ・ジニをはじめ、ハン・ジミンやイ・セヨンなど、今を輝く役者が名を連ねていたが、その中で彼らと共に注目を浴びたのが、強烈な目力で見る者を魅了したイム・ホだった。
朝鮮王朝の第11代王、中宗(チョンジョン)を演じ、チャングム(イ・ヨンエ扮)に想いを寄せるが、病により自身の死期を知ってからは彼女を遠ざける役柄を演じた俳優だ。
当時、多くの視聴者から高い支持を得て、韓国では“国王専門俳優”の称号を得たほど。また、本国のみならず日本でもファンが急増、本作を見た人なら彼の活躍と強い眼差しをきっと覚えているだろう。
イム・ホは、時代劇の脚本家である父親からアドバイスを受けたのだろうか、現代劇とは一風異なる演技が必要とされるジャンルにおいて、彼の目の演技は非常に大きな役割を果たしていた。
そんな彼は、『宮廷女官チャングムの誓い』をはじめ、主に時代劇で存在感を発揮してきた。もちろん、“目力”もその度に注目されている。
出演作といえば『妖婦 張禧嬪(SBS/1995)』や『ホジュン 宮廷医官への道(MBC/1999)』『大王の道(MBC/1998)』『広開土太王(KBS1/2011)』などが有名だ。
また『鄭道伝 チョン・ドジョン(KBS1/2014)』では、難しいキャラクターを担ったことから、当初彼の演技力に疑問を呈する声が上がっていたが、見事視聴者の心配を払拭し、俳優としての実力を立証した。
その他『オクニョ 運命の女(ひと)(MBC/2016)』や『ヘチ 王座への道(SBS/2019)』『太宗 イ・バンウォン(KBS1/2021)』などにも出演、長きに渡り歴史ジャンルでお茶の間を楽しませている。
しかしそんな彼が、最近KBS2『台風の新婦』に特別出演したことをご存じだろうか。
『台風の新婦』は、10月10日に本国でスタートし、毎日平日の朝に放送されているドラマだ。壮絶な復讐のために、敵の嫁になった女性を描いた韓国ドラマ定番のドロ沼劇である。
そんな本作でイム・ホが演じたのは、主人公の娘に関する出生の秘密を偶然知ったキャラクター。
いまだ『宮廷女官チャングムの誓い』で見せた目力は健在で、短い出演シーンにもかかわらず、ストーリーをより一層盛り上げていた。
時代劇のイメージが強い彼だったが、現代劇でも役者としての実力を発揮。
残念ながら、これまで“賞”とは無縁の役者人生を歩んできたが、いまもなお変わらず俳優として輝き続けている彼だけに、いつか授賞式でスピーチする姿を期待しているファンは多いだろう。
(構成:西谷瀬里)