故ソルリさんの逝去から、3年という時間が経った。
彼女の命日には、韓国だけでなく、彼女の人気が高かったここ日本でも、追悼のメッセージがSNS上で溢れた。
ソルリさんが極端な選択をした理由は、今もって明かされていない。
遺書はなく、当時の心境が綴られたと思しきメモは発見されたが、韓国警察はその内容を非公開とした。
ただ、彼女のマネージャーの証言によると、ネットの中傷に悩み、うつ病と極度のストレスを抱えていたようだ。
またソルリさんは、この世を旅立つ直前まで、所属事務所のSMエンターテインメントへ、悪質ネットユーザーの対応を求めていたという。
しかし同社は、これに消極的な態度を見せ続け、結果、最悪の悲劇を招き「若きアイドルを還らぬ人にした」と非難される。
3年が経った今、故ソルリさんに対する韓国人の記憶に、変化はあったのだろうか。
10月に入り、“ソルリ”という彼女の名は、韓国ネットで*5,183件登場。
*ニュース、ツイッター、ブログのみで集計(ビッグデータ分析サービスSometrend)
ハリウッドの新作映画『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の主人公の名前『ジェイク・サリー』が、韓国では『ジェイク・ソルリ(제이크설리)』であるため、今回集計された『ソルリ』のデータが全てソルリさんについての言及ではない。
関連ワードで、その反応を類推してみたが、上位を占めるワードの大半は、ソルリさんに関するものであることがわかった。
中には、故人が生前に仲の良かった女性芸能人の名前や、“偏見(3,312件)”、“ノーブラ(167件)”、“ハナムチュン(166件/ろくでなしな反フェミニスト男性)”など、ネット中傷に関するワードも目立つ。
しかし、直近1カ月で、“ソルリ”と関連するワード1位は、まさかの“チャン・ウォニョン(3,406件)”だった。
チャン・ウォニョンは、人気アイドルグループIVE(アイヴ)のメンバー。その人気ぶりはすさまじく、現在韓国ネットで最も多くその名が登場する女性アイドルの一人だ。
では、なぜウォニョンは、“ソルリ”と一緒に言及されているのだろうか。
それは、ウォニョンへの誹謗中傷に対する、韓国ネットユーザーの深い憂慮とかかわりがある。
多くのファンは、ウォニョンへの無差別な中傷が「再び悲劇を招くのではないか」と心配しているのだ。
彼・彼女は「故ソルリさんの教訓を忘れたのか」と自制を求めているが、アンチファンの中傷行為は今もなお続いている。
韓国芸能ライターのA氏は、ソルリさんとチャン・ウォニョンに対する、“中傷”の違いをこう説明する。
「故ソルリさんを攻撃したのは、主に男性だ。彼女は、“フェミニストファイター”という別名が付けられていたほど、女性権益に関心が高く、それについて発信していた。そんな彼女の行動が、一部の男性の反感を買ってしまった。一方、現在ウォニョンを攻撃しているのは、主に女性。特に、男性アイドルのファンから、強く警戒されているようだ」
両者に対する中傷の主体(性別)は違うものの、今ウォニョンも、故ソルリさんのようなつらい思いをしている。
人気アイドルを死に追い込んだ、韓国のネット中傷‥残念ながら、“現在進行形”である。
(構成:Danmee編集部)
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