お寺の息子として生まれ、親に反対されながらメンズアイドルに VOYZ BOY・鴻池泰至インタビュー

大原 絵理香 大原 絵理香

親の期待に応え続けている人、期待に反して自分のなりたい像を求めている人、いろんな人がいると思いますが、それがお寺の息子として生まれたとなると一般家庭以上に親の期待も大きそうな感覚があります。

今回は、お寺の息子として生まれ、親に反対されながら24名の次世代ボーイズグループ「VOYZ BOY」に所属するメンズアイドルとなった鴻池泰至に話を伺いました。

ーー最初に、自己紹介をお願いできますでしょうか。お寺の息子さんだとお伺いしましたが……。

鴻池泰至(以下、鴻池):「VOYZ BOY」いち喋るのが遅い鴻池泰至です。普段メンバーからはまったりした性格と言われていますが、ファンの方の心の拠り所のような存在になりたいという強い目標を持って日々活動しています。

600年続く横須賀の妙栄寺というお寺の、3人兄弟の末っ子として住職の父と母のもとに生まれました。中2で出家もしているので、れっきとした僧侶です。

ーー僧侶でメンズアイドルというのは異色だと思うのですが、この道を歩むことになったきっかけを教えてください。

鴻池:僕は元々引っ込み思案なところがあったので、父が大勢の檀家さんの前で話している姿を見ていてもすごいな、自分には出来ないな、と思うことが多かったんです。この性格を変えたいなとは思っていて、それにはいろんな人生経験を積むことが必要だと思った大学一年生のときに「VOYZ BOY」に出会いました。それで、思い切って飛び込んでみようと思ったんです。

ーー個人的な感覚かもしれませんが、お寺の息子さんとして生まれると、一般的な家庭と比べると継ぐのが前提、みたいなものがありそうですが、そのあたりはいかがだったんでしょうか。

鴻池:そうですね。小さいころからそういう教育は受けていましたし、定期的に父から教わる機会はありました。僕は三男ということもあり、兄ほど厳しいわけではありませんでしたが、それでもいろんな道があるなかで芸能なんて、と最初は大反対されましたね。「そんなんでやっていけるのか? 無理だろう」とか。めずらしく父も感情的でした。でも、普段はメンバーからものんびりまったりしていると言われている僕も、人生で初めてくらいに頑固に「僕はアイドルをやりたいです」と言いました。

ーーそれで、お父様は納得してくれたんでしょうか。

鴻池:いえ。しばらくは反対されていましたし、すこし理解を示しはじめてくれたときも「どうせサークル感覚だろうし、長く続けないだろう」と言われていました。でも、ライブを見にきてくれたり、SNSでの配信を見てくれたりするなかで少しずつ僕が真剣にアイドルに向き合っている姿を見て本気度が伝わったのか、いまでは応援してくれています。

ーー認めてくださったんですね! 実際に、ライブに来てくれたり、活動についてなにか言ってくれたり、なんかはあったりするのでしょうか。

鴻池:ライブの感想など含めて、いろんな感想をくれますが、特に父はやっぱり住職なので、僕が悩んでいるときは「辛いときこそ自分を見つめ直すことが大切だよ」というように、仏教の教えに基づいたアドバイスをくれたりします。

ーー僧侶のアイドルというのはとてもめずらしいと思うのですが、自分のバックグラウンドがアイドル活動に役立っていることはありますか? また、アイドルと僧侶はかなり遠い存在だと思うのですが、なにか共通点はあったりしますか?

鴻池:僧侶もアイドルも、心の拠り所っていうとおこがましいかもしれませんが、そういうものに近い存在だと思うんです。仕事やプライベートで大変なことがあっても、推しという存在に会うことが支えになることもあったり。でも、こちら側も同じで、みなさまのような存在に支えられているんです。お互いがお互いを支え合って成り立っているんだなというのは強く思います。

ーー素敵ですね! では逆に、アイドル活動が今度、ご実家に役立つというか、還元できることもあるのでしょうか。

鴻池:そうですね。もちろん、自分からファンの方に対してなにか働きかける、ということはしませんが、僕きっかけで実家が有名になるということがあればうれしいと思いますし、新しいお寺の在り方みたいなのはずっと考えているので、アイドル活動がそういうものに役立てることができればうれしいなとは思っています。

ーーありがとうございました。 最後に一言お願いします。

鴻池:8月9月はプロモーションツアーや定期公演で会える機会も多いので、ぜひ遊びに来てほしいです。ファンのみなさまにもっと楽しんでもらえるよう、支えになれるよう、僕自身も頑張っていくので、見ていてほしいです。

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