渋谷にピンクのタンクトップで立ち続ける人の正体は? VOYZ BOY・木村大河インタビュー

大原 絵理香 大原 絵理香

渋谷を訪れたとき、ピンク色のタンクトップに短パンで「ファン募集中」と書かれた旗を持って立っている男性を見たことある方はいるでしょうか。

冬も夏も同じ服装で毎日のように立ち続ける様子はある種異様に見え、テレビでも単独で取材されたほど。

彼の渋谷での愛称は「キムくん」ですが、木村大河さんという、普段は24名の次世代ボーイズグループ「VOYZ BOY」に所属するメンズアイドルです。今回はなぜ、どんな理由で渋谷に立ち続けているのかを木村さんに聞いてみました。

ーー最初に、自己紹介をお願いできますでしょうか。

木村大河さん(以下、木村):「VOYZ BOY」の木村大河です。僕はほぼ毎日渋谷に立ってファン募集中の宣伝活動をしています。ファンはもちろんのこと、老若男女国籍問わずたくさんの人を笑顔にできるアイドルになりたいと思っています。

ーーありがとうございます。まずお伺いしたいのですが、なぜ木村さんは毎日のように渋谷に立ち続けているのでしょうか。

木村:「VOYZ BOY」は、チラシ配りをひとつのグループのアイデンティティにしていて、チラシ配りからライブに来ていただいたり、SNSをフォローしていただいたりしています。

他のメンバーは一目見てかっこいい人やオーラがある人、喋りがおもしろい人がたくさんいるのですが、僕は何者でもなくて。チラシ配りをしていてもなかなか成果に繋がらない日々が続きました。それで、自分にしか出来ないことを、と考えたときに思いついたのが渋谷に毎日立ち続けることだったんです。

ーーわたし自身も何度も木村さんのことを見たことがあるのですが、いつから、どれくらいの頻度で立ち続けているのでしょうか。

木村:今年の1月から立ち始めて、週5から6は必ず立っています。7月10日にライブがあったんですが、ライブ前は宣伝強化のためにもっと長い時間立っていました。

ーーすごい! でも、宣伝という意味で考えると、自ら声をかけるなどアクションをした方がいいと思うのですが、木村さんを見ていると基本的には立っているだけ。この意図はなにかあるのでしょうか。

木村:「木村大河」「ファン募集中」と書かれた旗と、タンクトップには前がInstagram、後ろがYouTubeが出てくるQRコードという情報はあるのですが、情報はそれのみ。これは、自発的に調べてもらったり、話しかけてもらうことでコミュニケーションが生まれると思っているから。経験上、僕のファンになってくださる方は話すことで好きになってくれることが多いので、まずは話しかけてもらうのが狙いです。

実際、毎日のように渋谷で立っているところを見て興味を持ってくれて、声をかけてくれて、SNSを見てくれて、ライブまで足を運んでくださって。徐々にではありますがファンになってくださる方が増えています。

ーー「木村大河」「ファン募集中」と書かれた旗やQRコードは、確かに気になってしまいます。

木村:この活動をはじめてから、財布と携帯の次に旗が大事なものになりました(笑)。でも、この前は酔っ払いの方に旗をいきなり取られ走り去られてしまって……! 必死に追いかけたら鬼ごっこみたいになってしまいました。最終的には取り戻せたのでよかったのですが……。

ーー普通の人からは絶対出てこないエピソードですね(笑)。また、旗はもちろんなのですが、ピンク色のタンクトップに短パンというファッションは、さまざまなファッションの方がいる渋谷でもかなり目立ちます。このファッションになった理由があれば教えてください。

木村:「VOYZ BOY」に入ってはじめてのレッスンからタンクトップに短パンで行っていたんですが、それは他のメンバーに筋肉を見せつけたかったから。筋肉にはちょっと自信があるんです(笑)。そこから「大河といえばタンクトップだよね」というイメージがメンバーのあいだで付いてきたので、立つなら絶対にタンクトップに短パンだろうと。ピンクを選んだのは、「VOYZ BOY」は2チームに分かれているんですが、僕が「THE PINK by VOYZ BOY」に所属しているからです。

ーー渋谷でただ立ち続けているだけだと思っていたので、色々考えたうえでの行動だということが分かってすごくおもしろいです(笑)。なにか渋谷でのエピソードがあれば教えてください。

木村:渋谷では日々おもしろいことが起きているんですが……。例えば、この前僕の立っている目の前にゴキブリが現れて。僕は虫がすごく苦手なのでビビっていたんですが、そしたらまわりにいた方も気づいてビビってしまって、さらにその周りの方も、というふうにビビりが連鎖しちゃって、最終的にはその連鎖の中心にいた僕を指差してゴキブリ! と騒がれてしまったり……。あとは、毎日渋谷に現れるおじいちゃんから20〜30分おきに話しかけられるんですが、その人に荷物を見てもらっているあいだにトイレ休憩させてもらったり、男子高校生に「今日も頑張ってるね〜」とタメ口で話しかけられたり……おもしろい出会いがたくさんあります。

ーー(笑)たくさんのおもしろいエピソードが出てくるなか、暑くても寒くても雨でも立ち続けるのは大変だと思いますし、心無い人から悪意を向けられることもあると思います。それでも、強い意志を持って毎日立ち続けられるのはなぜでしょうか。

木村:自分は、小さなことを継続できるのが一番の強みだと思っていますし、まだまだ少ないですが、励まされたとか、キムくんが頑張っているから自分も頑張れている、と言ってくださる方も増えて来ています。アイドルって笑顔を届けるのが仕事だと思っているのですが、この活動は自分なりのアイドル像を作り上げることに繋がっているんです。だから、有名になってたくさんのファンの方が出来たとしても、僕は変わらず渋谷に立ち続けたいと思っています。僕は、渋谷に立ち続けているいまの自分が大好きです!

ーー継続、というのは簡単なものではないですし、続けられていること、そしてそんな自分が大好きと言っている木村さんはすごく素敵だと思います! 最後に一言お願いします。

木村:渋谷という場所から、僕目当てのお客さんだけで100人ライブに来てもらうのが当面の目標です! 8月9月は全国でプロモーションツアーが行われたり、渋谷での定期公演が行われたりして、いろんなところで僕のことも「VOYZ BOY」のことも見ていただける機会が増えると思います。渋谷に来たときには、声をかけづらいかもしれませんが、ぜひ気軽に声をかけてください!

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