開店4周年の〝左利き用〟道具店が話題 国内外から問い合わせ続出で世界進出も

日付が右上に配置した「左ききの手帳」。左手で書いても日付が隠れない
日付が右上に配置した「左ききの手帳」。左手で書いても日付が隠れない

 左利きの人が使いやすい文房具やキッチン用品を仕入れ・企画・販売するオンラインストア「左ききの道具店」が今月、オープン4周年を迎えた。左手で書き込みやすいよう日付を「右上」に記したスケジュール帳などが好評で、海外向け販売サイトも開設した。

 同店で最も人気があるのは、自身も左利きの店長・加藤礼さんが考案した「左ききの手帳」。(1)カレンダーのマスの「右上」に日付を配置することで、左手で書き込んでいても日付が隠れない。(2)週間予定を書くページを右側、メモ欄を左側にすることで左手で予定を確認しながら記入しやすいなどの特長がある。

 一般的な手帳を左利きが使うと左手で字が隠れやすく、確認のため手を頻繁に持ち上げるなど小さなストレスが発生する。その負担を減らした「左ききの手帳」は、「頭がクリアになる感じがする」などと好評を受け、国外からも購入希望の問い合わせがある。

 左利きは人口の約10%といわれる。一般的に販売される道具は右手での使用を想定したものが多く、左利きの人の中には「不便なことが当たり前で慣れてしまっている」人も多いという。加藤さんが初めて左利き用を使い、道具本来の使い心地に特に感動したものは主に2つある(いずれも同店で取り扱い中)。

 ◇「缶切り」 「子どもの頃から苦手で、『左手で持って開けられるわけがない』と家族にばかにされたこともありました。大人になってからは力が強くなったので、仕方なく右手で開けていたんですが、初めて左利き用を使ったら『こんなに使いやすいのか』とびっくりしました」 

 ◇「扇子」 「骨の重なる方向が右手用にできているものですから、普通のを扇子左手であおぐと、指がうまく引っかからないのでだんだん閉じてきてしまうんです。自分は苦手と思って使っていなかったんですが、左手用を手にして『こんなにしっくりくるんだ』と感動しました」

 左利き専用に作られたものではないが、どちらの手でも使いやすい商品も取り扱う。一般的な長方形のトランプは左手で扇状に持つと、カードの左上に書かれた数字が重なり見えにくいが、しずく型の「葉っぱのトランプ」は中央先端に数字があるため、どちらの手で持っても隠れない。

 学生時代から文房具が好きだった加藤さんは「私は左利きマニアというよりは、道具が好きでやっている」とこだわりを語る。「左利きグッズというと『おもしろグッズ』みたいなイメージで販売されていることもある」といい、「左利きの人が、珍しいおもしろグッズだからではなく『このデザインがすてきだから買いたい』と思えるような店があったらいいのに」と2018年8月に店をオープンした。

 文房具好きだからこそ「自分が本当に使いたいと思える品質」を追求する。人気の手帳では、なめらかな紙質や丈夫なとじ方にこだわった。「右利きの人にうらやましがってもらえるようないいものを作りたい(笑)」と加藤さん。今月13日には、オリジナル商品を海外向けに販売するECサイト「HIDARI.com」を開始し、世界からの注文にも対応する。

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