お盆の禁忌(タブー)とは?「怖い迷信」と思いきや、実は危険を事前に回避する合理的な対処法だった

深月 ユリア 深月 ユリア
画像はイメージです(cgraff/stock.adobe.com)
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 まもなく「お盆」がやって来る。お盆には「禁忌(きんき)」があるという。禁忌、すなわちタブー。ジャーナリストの深月ユリア氏が日本において古くから伝えられる「お盆のタブー」を紹介し、専門家の見解も聞いた。

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 もうすぐお盆だが、墓参りのほかにお盆休み中に旅行やイベントなどに出かける方も多いだろう。しかし、お出かけの際に「お盆中にやってはならない禁忌」があるのをご存じだろうか。

 【お盆中に海や川、山に行ってはならない】

 「お盆の時期は、地獄の鬼も罪人を責めるのをやめて休息するので、現世に住む人間も休息するのが良い」とされている。特に「水」がある場所は霊が集まりやすく、「霊に足を引っ張られて溺れてしまう」、山にも天狗など、高位の霊が住み着いているとされているので、お盆に先祖の霊を敬わない人を「神隠し」に遭わせる、という言い伝えがある。もっとも、多くの日本の「怖い迷信」は、実は危険を回避するための合理的なものだ。

 オカルト研究家・作家の山口敏太郎氏によると、「お盆の時期に禁忌とされることは多いです。一般的にお盆の時期は地獄の釜が開くと言われており、お盆に水泳をすると死者が現世に舞い戻り、生きている者の足を引くと言われていました。実際は、クラゲの発生により、刺される危険性を心配したものと思われますが、かつての日本人はお盆の時期の禁忌として海に入ることを嫌っていました」

  お盆の時期は、海はクラゲに加え、離岸流も発生しやすい時期であり、水難事故が多くなる。川も藻が増えて足が滑りやすくなっている。山も天候が変わりやすく急な雷雨に遭ったり、熱中症で倒れて遭難するリスクが増える。

 【お盆にお墓参りに行かないと、不思議な夢を見る】

 「お墓参りに行かないと、お盆期間のどこかで不思議な夢を見る」という言い伝えがある。お盆期間は霊界とつながりやすくなっているので、ご先祖様や亡くなった家族が会いに来ているのかもしれない…という考え方のようだ。

 【お盆に白い着物を着てはならない】

 白い着物は「死装束」に似ているので、 「死神に死者だと思われて、この世ではないところに連れ去られてしまう」という言い伝えがある。

  【お盆に無益な殺生をしてはならない】

 虫が多い季節だが、「ご先祖様が虫に乗って帰って来るので、殺傷するとご先祖様が帰れなくなる」「お盆に無益殺生をしてしまうと、次はその生き物に生まれ変わる」という恐ろしい言い伝えもある。仏教では殺傷は禁忌(不殺生戒)であり、お盆の時期には精進料理が推進される。お盆の時期はなるべく殺傷せず、虫も外に逃がしてあげるようにしよう。

 怪談師の稲川淳二の現場で幾度が仕事していた心霊能力者の鈴田之神助(すずきじゅん)氏によると、「子供の頃から、この時期に釣りをしないようにとも言われてきましたが、この時期に殺生をしてはいけないという言い伝えがあるからですね」「この時期は亡くなった家族や親戚、ご先祖様が戻ってくるので迎えてあげましょう」

 この時期は「ご先祖様を敬って過ごすと開運がもたらされる」ともいわれる。コロナ感染も広がっているので、自宅の神棚でもよいので、ぜひ、ご先祖様に感謝の気持ちを伝えてみよう。

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