原作者の尾田栄一郎氏が総合プロデューサーを務める新作映画「ONE PIECE FILM RED」(8月6日公開、谷口悟朗監督)のワールドプレミアが22日、東京・日本武道館で行われた。ヒロインを務めるウタ(声・名塚佳織、歌唱:Ado)のステージ後、主人公ルフィ役の田中真弓はじめ麦わらの一味、ウタ役の名塚佳織、ウタの父であるシャンクス役の池田秀一、ゴードン役の津田健次郎、クラゲ海賊団を担当した俳優の山田裕貴、お笑いコンビ・霜降り明星の粗品とせいや、谷口悟朗監督が登壇。個性豊かなトークを展開した。
この日は原作漫画が「少年ジャンプ」で連載を開始して25周年の記念日。日本武道館には4000人のファンが駆けつけた。まず、田中真弓が「連載25周年の節目の時に、日本武道館でファンとこうして一緒にいられるのはうれしくて興奮しています。よろしくお願いします」と挨拶。ウソップ役の山口勝平とチョッパー役の大谷育江が武道館の雰囲気に興奮していることを明かすと、ジンベエ役の宝亀克寿は「仲間になると言い続けて10年。やっと皆と一緒に出ることができて、興奮しています」と役柄と絡ませて応じた。
ウタ役の名塚佳織は、ウタのステージを「MVや日記でウタを応援してくれていて、きょうもバルーンやサイリウムで応援してくれて、自分のことのようにうれしいです。フィルムの中でウタが大暴れしますが、みなさんにどんな風に映るのかドキドキします。見終わった後にウタを、この作品を愛してくれたらうれしいです」と語った。
ウタの父親で、幼少時のルフィに麦わら帽子を託した重要キャラ、シャンクスは原作でもレアな登場機会だが、劇場版でフューチャーされるのは初めて。池田秀一は出演が決まった際を「テレビでも何年に一回しか出ないので油断していました。しかもFILM REDですから。僕にとっても事件でした」と振り返った。ゴードン役の津田健次郎は、同作でヨンジ役を担当するため、別役での出演には驚いたが、池田と同じアフレコ現場となり「一緒に収録できたのがうれしくて、興奮しました。僕はヨンジをやっているので出演させていただき光栄ですが、プレッシャーもありました。こうして武道館でファンを前にして、改めてすごい作品だと実感しています。REDのタイトル通りメチャクチャ熱い作品です」と呼び掛けた。
劇場版ならではのゲスト声優を務めた山田裕貴、霜降り明星の粗品とせいやは作品愛を爆発させた。山田は「25年前に出会って、生き方を学んだ大きな作品。俳優をやってこれたのも、ルフィの逃げない姿、それを支える仲間の姿を見て、それが自分の支えにもなった。いつか映画の声優で出られる俳優になれればと、夢に持っていました。好きすぎて…」と感激のあまり声を詰まらせた。この姿を「分かるよ」と言葉を挟んだせいやは、「山田さんの気持ちは分かる。僕ら世代は人生を一緒に歩んできたので、この話をいただいた時は、ジャヤ編のすごい声量のショウジョウと同じくらい声が出ました」とマニアックなネタで笑いを誘い、映画がいかに楽しみであるかを述べ「田中さんや声優さんたちと初めてお会いして、キャラ通りで感動しました。田中さんは優しくて、僕に大丈夫と気に掛けてくれて…」と続けたところで、歩み寄られた田中から「長~い」と手をかざされ「覇王色や」と倒れ込み、再びワンピースネタで笑いを呼んだ。「ありがとうございます。ネタを仕込んでくれてありがとうございました」と感激していた。
映画の見どころを司会者に尋ねられた、麦わらの一味も負けてはいない。一番手の宝亀は「ウタとルフィの小さい頃のシーンが胸にジーンと来ました」とまっとうに応じた。続くブルック役のチョーは「ウタの歌ですね。ソウルキングとしてはデュエットしたかったんですけど…」とし、唐突に「ドレミの歌」の替え歌を最後まで披露。せいや同様、田中に手をかざされ「倒れてよ」と声をかけられた倒れ込んだ。フランキー役の矢尾一樹は「新ジャンルのミュージカルのようでした」と、チョッパー役の大谷育江は「聴いたことのない曲もありますが、ウタの踊りがかわいい。覚えて一緒に踊りたいと思いました。映画館で一緒に歌おう、みたいに一緒に踊ろう、もあればいいなと思いました。モンスターポイントのチョッパーも出てきますが、あれに声を入れたが記憶が定かではないんです。声を出していたかチェックしてください」と呼び掛けた。サンジ役の平田広明は劇場版のパターンを紹介した上で「サンジはレディーを救います。サンジの優しさに触れて楽しみにしてください」とネタバレを含めた見どころを披露。ウソップ役の山口勝平は「多分今まで見たことのないワンピースです。目を皿のようにして見たら、会場がどよめく場面があると思います。楽しみに」と語り、ナミ役の岡村明美は劇場版『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』(2009年)の主要キャラ、金獅子のシキを演じた俳優・竹中直人が出演していることを挙げ「さてどこに出てくるか。気づくか気づかないいいライン。余裕があったら探してください」と述べた。ゾロ役の中井和哉は「僕には20数年間気にくわないヤツがいます」と切り出し、「そいつを今回、イラッとさせることができて大満足です」とストーリーに絡めて話した。
出演者同様に見どころを尋ねられた「コードギアス」シリーズで知られる谷口悟朗監督は「見どころは全てになってしまう。全てのシーンに意味を持って次につながり発展するように組んでいるので」とした上で「ただ、昔から見ている人は昔から見ているなりに、初めて見る人にも楽しめるように組んでいます。作品は皆さんが楽しんで完成する。皆さんが好きなところを見つけてくれるのが一番うれしいです」と語った。
再び山田裕貴に話が振られ、鑑賞の感想を問われた。霜降り明星のふたりは未鑑賞であることを平田広明ら一味から責められ、せいやは「一味にいじられてて正直うれしい」と再び笑顔。山田は「ウタのライブシーンから始まって、楽曲が良くて、もちろんストーリーも胸に来る話で楽しめると思う」と感想を述べた。
名塚佳織は「彼女の人生をAdoさんと一緒に歩むことができて、すごくうれしく思います。皆さんにどんな風に映るのかドキドキしていますが、ウタを愛していただいたらうれしい。よろしくお願いします」と呼び掛けた。池田秀一は「すてきな作品に参加できて光栄」と語った。田中真弓は「私はブルックとナミのシーンが好きで、こんな時でもブルックはこんなことを考えているんだというシーンがあります。楽しんでください」と挙げた上で「シリーズが続いている作品で映画をつくるのは大変だと思います。毎回、この手があったかと思いますが、今回もそう思いました。見たことがないものを作った、これを考える人たちはすごいと思います。ぜひ見届けてください」と締めくくった。
マスコミ向けのフォトセッションでは、田中真弓が紙吹雪を飛ばすキャノン発射の掛け声を2回間違えるハプニングが発生。本来は「『ONE PIECE FILM RED』開幕だ~‼」のはずが、最初は「きょう来てくれたみんな、配信で見てくれたみんなは、俺たちの仲間だ~‼」と呼び掛けキャノンが不発。仕切り直しの二回目は「『ONE PIECE FILM RED』…何だっけ。ごめん。言い慣れてるのは『出航だ~‼』なのよ」と謝り倒し、その後は小声で「開幕だ、開幕だ」と繰り返すも、マイクに音が拾われ山口勝平から「聞こえてるよ」と笑い声で指摘された。最後は「『ONE PIECE FILM RED』開幕だ~‼」と三度目の正直を決めた。