れいわ新選組代表の山本太郎氏(47)が8日、都内で取材に応じ、この日の街頭演説中に銃撃され死去した自民党の安倍晋三元首相に対し、「本当にショッキングです。私がこれほどショックを受けているので、一般の方はどれほどか、心配になります」と追悼の意を示した。その上で、その政治については「政治的立ち位置、目指す社会観は全く違う」と批判的な見解を示した。
参院選(10日投開票)に東京選挙区(改選6)から立候補している山本代表は、品川駅前での街頭演説を、バンド演奏等のフェス的要素を自粛、簡素化して実施した。この日は街頭演説を中止する候補者が多かった中、「民主主義の根幹の選挙運動が暴力によって封じられてしまった事実に対して、こちらが萎縮してしまったら民主主義の根幹が崩れかねない」と敢行した。
安倍元首相に対しては「実行力は、あれだけの長期政権、あれだけの多数派を維持し続けたのはすごいこと。決められない政治から、決められる政治に一気に進めていきましたね」と評価。その一方で「でも残念ながら、決められた内容に関しては、この国に生きる多くの人々にとっては首の絞まる内容が多かったかなと思います。例えばですけど、野党時代にはTPPに反対し続けていたのが自民党です。政権を取ってからTPP大推進になりましたよね。TPPを地獄行きのバスだと言っていましたが、地獄行きのバスに日本を乗せたのは、政権交代した後の自民党です」と言及した。
参院選では消費税廃止を掲げている山本代表。「経済政策には見どころが一つあったと思います。つまり社会にお金が回ってないっていう状況のとき、自国通貨を持った国ができる基本的な経済政策ですね。それをアベノミクスと名付けてしまったんですけど。第1の矢で異次元の金融緩和をやり、第2の矢で機動的な財政出動、足りていないところにお金を入れていこうとしたが、残念ながらお金の量は増えたけども、機動的な財政出動が全体に及ばなかった。ある意味で特定のところに流れちゃったばっかりに、この国は復活する機会を失ってしまった。やろうとしたことは良かったけど、実際には、第2の矢は届かなかった」と持論を述べた。「そういった意味で、失われた20年をより延長させてしまった印象があります」と批判した。
この日の安倍元首相への銃撃事件を一例に、殺伐とした犯罪に走ろうとする人々へのメッセージを求められた山本代表は「この30年という期間は、政治の失敗、ある意味で人為的に不況が続けられ、一握りの者たちに得をさせるために多くが収奪されていきながら、もうペンペン草も生えないような状態にされちゃって、当然多くの方々が苦しみますよね。何かしらの暴発をしてしまう人も出てくる状況だと思う。今日の出来事について詳細は知らないけど、これまで多くを巻き込むようなさまざまな事件には、社会問題が関係してましたよね」とした上で「どうか諦めないでもらいたい。皆がこの国にある希望の一人です。私たちがその人たちの希望になりたい」と語った。
山本代表はこの日の街頭演説で、消費税の廃止、景気の回復を改めて約束し、支持を呼び掛けた。