国産旧車ブームを背景にしたCS放送「映画・チャンネルNECO」の30分枠ドラマ「旧車探して、地元めし」の新作となる第3話の愛知編が6月25日に、第4話の埼玉編が7月23日 に初回放送される。主人公の「幻のカーディーラー」として、車の買い付け先で魅力的な旧車や女性、食べ物と出会う升毅は、プライベートでも1974年に自動車免許を取得して以来、数々の名車を乗り継いできたカーマニアでもある。その升が、よろず~ニュースの取材に対し、亡き盟友の形見として引き継ぎ、今年でちょうど10年を迎えた現在の愛車について語った。
升は18歳の時、28万円の中古車として購入した「スズキ フロンテクーペ」を皮切りに、20代は「マツダ ルーチェロータリークーペ」「ダイハツ コンソルテクーペ」「ホンダ シビック」、30代はホンダの「シティ」「コンチェルト」「インテグラ」から「いすゞ ビッグホーン」「アウディ80」「ホンダ プレリュード」、40代はホンダの「ステップワゴン」「S-MX」「モビリオ スパイク」、50代はホンダの「ステップワゴン スパーダ」「クロスロード」と主に国産車を乗り継いできたが、57歳となった2012年の暮れから「メルセデス・ベンツ G500 ロング」に現在まで乗り続けている。
その車は、12年11月に肝臓がんのため53歳の若さで亡くなった女優・牧野エミさんのものだった。升が関西を拠点に活動していた時期の盟友だ。牧野さんは関西での活動を続けて「希代のコメディエンヌ」と称され、舞台やテレビ、ラジオ番組のパーソナリティーとしても人気を博した。
「1985年から一緒に活動していた牧野エミという女優がいるんですけど、(演劇ユニット)『売名行為』を6年間、『劇団 MOTHER(マザー)』を11年間、ずっと一緒に活動していたんですけど、10年前に亡くなりまして 、その彼女が乗っていた車なんです。ナンバーが素敵で『●●39』…『サンキュー』なんですよ。彼女はすごくそのナンバーを気に入っていたのですが、彼女がいなくなって、誰も乗る人がいないので廃車にするしかない という話を聞いた時に、『いや、それはちょっと…。なんとかしたい』と思って、『僕に譲っていただけませんか』と(遺族に)伝え、逆に『ぜひ乗ってください』ということで乗せていただくことになりました」
そう振り返った升。ベンツがマイカーになった背景には、そういう経緯があった。
「ベンツ G500 ロング。色はシルバーです。彼女も、よくあんな車に乗っていたと思いますね」。ドイツ車の「ごつさ」「頑強さ」を体現したボディー。女性が乗るイメージとのギャップから「あんな車」という表現になったが、「芯の強さ」を感じさせる牧野さんの個性的な車選びへのリスペクトも込められていた。
升は「今の車をできる限り乗り続けたい。大切な故・盟友の形見なので…。車の方が『もう、いやだ』というまで乗り続けたいと思います」と誓った。今後も番組では俳優としてさまざまな車と接していくが、その背景には私生活における愛車への思いが積み重なっている。