将棋の藤井聡太棋聖(竜王、王位、叡王、王将の五冠)に永瀬拓矢王座が挑戦するヒューリック杯棋聖戦五番勝負第1局が3日、兵庫・淡路島の「ホテルニューアワジ」で指され、66手で千日手が成立した。
藤井棋聖にとっては、5月15日に指された叡王戦五番勝負第2局に続き、今年度2回目の千日手。わずか5局で2回の千日手指し直しという驚きの展開となった。
今局は序盤の昼食明けにも一度、千日手の筋が現れたが、その際は永瀬王座が回避した。だが先手の藤井棋聖は55手目で角を引き、永瀬王座が飛車を浮くと、再び角を飛車に当てる手を選択。永瀬王座は飛車を引き、藤井棋聖も角を引いた。その後も両者がこの手を繰り返し、同一局面が4回登場。規定により千日手となった。
指し直し局は先後が入れ替わり、永瀬王座が先手となる。藤井棋聖は一般的に有利とされる先手番ながら、自ら千日手を申し入れる形の指し手を展開しており、苦戦を意識していたとみられる。
永瀬王座にとっては、同じ対局場で指された2016年の第87期棋聖戦五番勝負第1局・羽生善治棋聖(当時)でも千日手となり、指し直し局を制した。藤井五冠は叡王戦第2局の指し直し局は勝利したが、過去は8局中3局で敗戦。自身の勝率からすると、指し直し局の勝率は低くなっている。