喉頭がんで声を失った米人気俳優 最新作ではAI技術で声を再現

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ヴァル・キルマー
ヴァル・キルマー

 映画『トップガン マーヴェリック』におけるヴァル・キルマー(62)の声は、AI技術を駆使して再現されたという。2014年に喉頭がんの治療の一環として気管切開手術を受け、声を失ったヴァル。待望の同新作でアイスマン役を続投した際には、スタートアップ企業ソナンティックの協力を得て台詞をこなしたという。

 同社の共同設立者でCTOのジョン・フリン氏はフォーチュンにこう説明している。「最初から私達の目標は、ヴァルが誇りに思えるボイスモデルを作ることでした」「私達は、彼に声を返し、それが何であれ今後の作品で使える新しいツールを提供したかったのです」

 通常、俳優が脚本を読んでいるところを録音しボイスモデルを制作するものの、ヴァルの場合は、それが出来ないため過去に録音されたものを使用。「ボイス・エンジン」を使いモデルに俳優の話し方を教えたという。

 普段に比べ10分の1のデータしかない中での作業であったことから新たなアルゴリズムを使い、高品質の声を創り上げたそうで、「最終的に40種類の異なるボイスモデルを創り上げ、最良かつ最高の品質で、最も表現力のあるものを選びました」と同氏は続けた。

 ヴァル本人は、その声に大満足のようで「(ソナンティックは)可能だとは思っていなかった方法で僕の声を巧みに再現してくれた」「人間として、コミュニケーション能力は私達の存在の核をなすものだ。喉頭がんの影響で、人が私を理解するのが困難となっている」「私のストーリーを自分らしく親しみを感じる声で語る機会は、素晴らしく特別な贈り物だ」と喜びを語っている。

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