大阪市の死者が前年比で激増のナゾ 要因はコロナ?医療体制効率化の大阪市は「死者は高齢者が多い」と説明

深月 ユリア 深月 ユリア
 コロナイメージ図(rrice/stock.adobe.com)
 コロナイメージ図(rrice/stock.adobe.com)

 新型コロナウイルスの第6波において、大阪でのコロナ感染による死者数が全国的に突出している。死者数に関して、大阪府は東京都を大きく上回ってワースト1位というデータが報じられた。大阪市でも今年2、3月の死者数が前年に比べて激増。ジャーナリストの深月ユリア氏が経緯をまとめ、医療関係の専門家や大阪市に見解を聞いた。

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 【大阪市の死者が激増】

 大阪市の今年2月、3月の新型コロナウイルス感染による死者数が前年と比べて大幅に上昇している。

 大阪市が発表した新型コロナウイルス感染による累積死者数のデータから、前月末までの新型コロナ死者数を引いて計算したところ、大阪市の死者数は2月が766人、3月が781人。今年は主にオミクロン株によるものと推測されるが、前年2月の主にデルタ株の新型コロナウイルスによる死者数191人の4倍(575人増)、同年3月の67人の11・65倍(714人増)だ。

 コロナ感染だけでなく、他の病気なども含む大阪市の死者総数は、今年2月が3332人で、前年2月比24・1%増(647人増)。今年3月は3579人で、前年3月比30・19%増(830人増)だった(いずれも大阪市「推計人口」資料より)。また、大阪府全体をみても新型コロナウイルス第6波による死者数が全国ワースト1位で、 その数は2位の東京都と比較すると約1・6倍だ。さまざまな説があるが、増加分の死因の一つとして新型コロナ第6波の影響ではないかと指摘されている。

 【高齢者施設でクラスター】

 大阪市府の専門家会議で座長を務める朝野和典・大阪健康安全基盤研究所理事長がメディアに答えたインタビューによると、「高齢者施設でクラスターが多発し、高齢世代の感染者が多いのが死者増加の主な原因だ」「職員への研修を強化し、対策費として介護報酬を加算することも検討すべきだ」という。

 特別養護老人ホームや介護老人保健施設は連携医療機関を指定する決まりがあるが、住宅型の有料老人ホーム等には必須でなく、 高齢者施設でクラスターが発生しても、医療機関が関与しなかった施設が第6波まん延時は26%もあったという。

 【医療体制効率化も】

 もう一つの原因として、大阪が医療体制の効率化を計ってきたことが指摘されている。ある医師によると、「医療機関の統廃合を進め、急性期病床を2021年度に426病床を削減、502床を回復期病床に転換しようとして、他の都道府県に比べても医療体制が逼迫(ひっぱく)しました」という。

 オミクロン株の感染拡大により医療体制・保健所が逼迫し、大阪府は高齢者施設にたいして、「軽症なら施設内で療養」するよう要請していた。 特に高齢者や持病がある人は早期の治療と対策が必要なのにも関わらずだ。大阪府が2月26日までの第6波の死者を分析したところ、全体の約97%が60代以上の高齢者で、60代以上の死亡率は1・26%である。(40-50代の死亡率は0・02% )

 【大阪市は原因を調査中】

 筆者が大阪市の今年2月と3月の死者数増加に関して大阪市に問い合せたところ、担当者は「新型コロナ第6波の死者数が統計に反映されていますが、それだけが因果関係ではないと考え、現在も調査中です。大阪市は高齢者率が増えていまして、統計として死者数も高齢の方が多くなっています」と説明した。

 大阪市は「4月以降に関しての統計データは算出中」とのことだが、続報を待ちたい。

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