壁を撮り続ける「壁際さん」 窓好き、ドア好き、小屋好き、Y字路好き仲間との散策を心待ちに

山本 鋼平 山本 鋼平
ニコニコ超会議にブース出展した壁際さんこと高際俊介さん=千葉県内
ニコニコ超会議にブース出展した壁際さんこと高際俊介さん=千葉県内

 歴史と生活が息づく街並みの〝いい顔をしている壁〟を探している「壁際さん」こと、都内在住の会社員、高際俊介さん(40)。コロナ禍の影響を受けてきた活動だが、自粛ムードから抜け出そうとする今、世界各国、日本各地を巡った旅行はもちろん、活動で知り合った仲間との町歩きを心待ちにしている。

 4月末に千葉県内で開催されたニコニコ超会議、「マニアフェスタ」に〝壁マニア〟としてブース参加した壁際さんは「こうした活動は久しぶりなのでうれしい」と笑顔を見せた。2018年に製作した写真集「壁をやる」、19年の「壁がいる」を並べ、来場者と触れ合った。「コロナで本の発表が止まっていましたが、今年中に3冊目を出したいですね」と、スッキリしなかった日々からの前進を誓った。

 2016年9月に中国・ハルビンを旅行した後、撮影した街並みが壁ばかりであることに気づいた。それ以前の旅先での写真も、見返すと壁ばかり。以降は意識して壁の写真を撮るようになった。趣のある経年変化、取り巻く環境と意図しない調和を生み出す壁を「いい顔」とし、登山好きが「山をやる」と言うように、自らの活動を「壁をやる」と表現するようになった。これまで2500枚以上を撮影し、16年12月に開設したインスタグラム(@kabe_giwa)に「いい顔」を投稿する。SNSでの交流、トークイベントに参加するなど、活動の幅を広げてきた。

 コロナ禍で旅行が難しくなったことはもちろんだが、勤務先のリモートワーク増加が悩ましかった。そもそも壁を目的に外出することはせず、日々の暮らしや通勤、旅の途中で見つけた「いい顔」を撮影するのが壁際さんのスタイル。「たまたま出会う方が『いい顔』は見つかるものですが、もともと出無精なので、外出の機会が減ってしまい困りました。意識して用事をつくっては、遠回りしたり、手前の駅で降りて散策しています」。活動を通じて知り合った同好の士との町歩き再開も楽しみにしていることの一つ。「コロナで控えていましたが、窓好き、ドア好き、小屋好き、Y字路好きの方との町歩きをまたやりたいですね。壁にドアがあると、ドア好きの方と一緒に盛り上がりました。最初は分からなかった彼らの視点の面白さが、理解できた時は楽しかったですね」と、待ち遠しそうに話した。

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