話題作『私ときどきレッサーパンダ』に見る"負の感情"との向き合い方 アンガ-マネジメントの重要性

伊藤 さとり 伊藤 さとり
「私ときどきレッサーパンダ」のワンシーン=ディズニープラスにて見放題で独占配信中(C)2022 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
「私ときどきレッサーパンダ」のワンシーン=ディズニープラスにて見放題で独占配信中(C)2022 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 「アンガーマネジメント」という言葉をご存知でしょうか?

 これは怒りをコントロールする心理療法であり、1970年代にアメリカで本格的に広がり始めたのをきっかけに今や男女問わず人気の高い心理トレーニングです。まさにストレス社会と言われる現代において、怒りから来る興奮状態をどうやって鎮めるのか?そんな負の感情との向き合い方にも読み取れる映画が、現在、ディズニープラスで独占配信中の『私ときどきレッサーパンダ』です。

  物語は13歳の女の子メイが主人公。親友たちと大好きなボーイズバンドで盛り上がり、家では母親の期待に応えようと暮らしています。そんな彼女が、あることをきっかけに、突如、レッサーパンダに姿が変わってしまいます。感情が爆発することで変身すると分かったメイの姿を映し出しながら、子育てにおいて大切なことや感情との向き合い方について描いたファミリードラマが本作です。

 この物語を生み出したドミー・シー監督は、手作りの小籠包に命が吹き込まれ、息子として成長していく姿を描いた『Bao』(ピクサー短編アニメ)で、第91回アカデミー賞短編アニメーション賞を受賞しています。実は日本のアニメの大ファンだそうで、『セーラームーン』や『らんま1/2』などを好んで見ていたと話していることから、主人公メイが『セーラームーン』のように親友たちに囲まれている姿や「月」が儀式に影響を及ぼすこと、更にレッサーパンダに変身するメイとパンダに姿を変える父親が登場する『らんま1/2』がシンクロしていることも映画から読み取れます。

  そんな『私ときどきレッサーパンダ』では、「いい子」でいようとしすぎて抑圧された感情が怒りを招くことを指摘しながら、どうやって怒りの感情と付き合うのかを赤いレッサーパンダを「怒り」に例えて描いていました。それは「アンガーマネジメント」が提唱する怒りを抑え込まずに怒りを受け止めることであり、「〇〇すべき」「〇〇しなければならない」という言葉の呪縛からの解放も意味していました。

 もしも自分が時々、怒りを爆発させてしまうタイプだと気付いているのならば、根底には「正しさ」への囚われが潜んでいるかもしれません。さすが子どもだけの人気にとどまらないピクサー。最新作もしっかりの大人の不安にも寄り添った映画を完成させていました。

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